平智之の活動ブログ

市場原理でも「禁原発」

2012年11月25日 07:38

原発コストは安くない
 原発コストは安くありません。それどころか、都市部を直撃する原発事故リスクへの対応費用や、今回の原発事故の収束費用などを含めると、現段階でも原発は火力より高いです。私が計算したところ、原発コストは政府試算の「8.9円~」ではなく17.4円/1kWhとなりました。政府試算の火力発電コストは10円強ですから、原子力コスト火力発電のコストよりはるかに高いのです。

●そもそも市場原理ではない
 すでにコスト優位性を失っている原発が、それでもなお市場に存在するのはなぜでしょうか。市場原理で淘汰されない理由はひとつしかありません。それは原発が、そもそも市場原理に基づいていないからです。たとえば、立地自治体への交付金及び技術開発などで毎年約3千億円が交付されています。財源は電源開発促進税です。本来は電力会社が払うべき地元対策費と研究開発費を、国民が税金で払っているのです。

●電気代も税金
 また、廃炉引当金、最終処分拠出金、再処理積立金は12年度末現在で合計5兆円を超えています。こうしたお金の源は、すべて電気料金です。電気料金という公共料金で国民が積み立てているのです。だから原発は、もともと市場原理に基づいていません。

●保険が成立しない
 もうひとつあります。原発事故の保険が成立しません。保険が成立するためには、最大でどれくらいの被害額が発生するか、そして事故がどれくらいの確率で起こるかを知らなければなりません。しかし、政府(エネルギー・環境会議のコスト等検証委員会)においても、事故発生確率と最大被害想定がいずれも不明とされました。保険が成立しないサービスは、本来市場に存在できません。

●保険がないのになぜ?
 それでもなぜ存在しているのか。それは事故が起こったら青天井で国が面倒をみるからです。「原子力損害の賠償に関する法律」で原子力事故の保険が用意されていますが、電気事業者の賠償額は1200億円まで。それ以上は国が負担するしくみになっています。つまり国民の負担です。

●最初から市場原理で淘汰されている
 こうしたコストを、これまで電気事業者は原発事業として負担してきませんでした。事故リスクを含めると原発の利益構造では賄えないからです。こうした隠れたコストに向き合うと、国民負担でしか成立しない原発事業は、実は最初から市場原理で淘汰されているのです。

●「禁原発」という政策
 市場原理の場合、こうした回復不能の不採算部門は切り離して廃止するのが常識です。国が主導した事業ですから廃止に際しては国が関与する。私が主張する「禁原発」の前半は、そのような政策です。"工学的に絶対な安全が不可能"な点で技術的にも禁止すべきですが、市場に淘汰されている点で経済的にも廃止すべきなのです。原発原子炉等関連施設は電気事業者から切り離して国家管理とし、廃止措置(廃炉や使用済核燃料の処分等)を国の責任で行うという政策です。禁原発政策の後半は、新しいエネルギー社会を構築する成長戦略です。

ページの先頭に戻る