平智之の活動ブログ

2013年12月

【報道ウォッチ14】本当に県外はダメのか?

2013年12月31日 03:42

【平智之の報道ウォッチ14】辺野古埋め立て承認の報道。ひたすら極東有事の危機感を煽って絶対に沖縄に基地が必要だ言う点が、ありもしない停電の危機感を煽って絶対に原発が必要という点に似ている。原発のように本当は要らないのではないか。

●政権交代は内部崩壊だった
政治主導を主唱した鳩山政権を4年続けていれば日本は変わりはじめていたと私は信じている。実は政治主導に対抗する官僚自身も自らの問題点に気づいている。でも自分たちでは自らの無軌道を止められない。それを止めるのが2009年の政権交代だった。しかし、その民主党政権を民主党が壊した。総理に引導を渡し、何度も組閣して大臣の地位を回して、結局権力におもねた。だから当然2012年には大敗した。権力なら上手がいる。

●なぜ辺野古移設が必要なのか
民主党政権の大改革のひとつが県外移設だった。いま辺野古埋め立て承認を巡って在沖海兵隊の必要性が喧伝されるが、その根拠は定かではない。自衛隊は実戦を知らないから、やはり戦争初動のプロたる米海兵隊が必要なのだという人もいるが、そういう人も戦争を知らないだろう。単に怖いと言っているだけのように感じる。なぜ戦略的に普天間基地および辺野古移設が必要なのか。「怖いから」は大切な防衛本能だが戦略でも戦術でもない。

●「最低でも県外」の妥当性は検証されたのか?
元在沖縄総領事で元米国務省東アジア・太平洋局日本部部長のケヴィン・メア氏は自身の著作『決断できない日本』で、海兵隊には絶対に訓練が必要で、それを沖縄でするのだから沖縄に基地が必要なのだと書いていたと記憶する。なぜだろう?なぜ沖縄でなければならないなのか?

●北マリアナ議会は受け入れを議決していた
周知のとおり、米国自治領の北マリアナ諸島の上下院が普天間基地の移転先としてテニアン島誘致を全会一致で可決していた。「辺野古ではなくテニアンへどうぞ」という議決だ。ならば12万4千人のうち、先に表明されているグアムに8千人、そしてテニアンに4千4百人、入りきらないならテニアン以外の北マリアナ諸島の島々などで受け入れれば、そうした訓練はできないのか。つまり、「最低でも県外」が絶対に間違いであり、普天間を閉鎖するなら辺野古移設が不可避であるという論拠はなんなのか。たとえばトランスフォーメーションにおける前方展開戦力論を読むと、「絶対にここが基地」というのが逆に弱点であり、もっとダイナミック(動的)な戦力配置を実現しようとしていたように読めた。つまり戦略的に、普天間も辺野古もそこにあったほうがいいという程度で、立地不可避というものではないと思う。

●在沖米軍と原発は似ている
即応性の議論もある。「最低でも県外」という重大な公約に対抗して、なんと与党民主党の防衛省閣僚から極東有事の際に県外からだと海兵隊の到着が遅れるから県外はダメで、やはり在沖米軍の海兵隊が欠かせないという発言があったと聞く。たとえばテニアンから日本までの飛行時間は3時間。この3時間のためだけに、沖縄の願いである「最低でも県外」を反故にする不可避の理由とはなんなのか。これは、ひとたび事故が起これば甚大な被害が生じる原発が、年に数回の電力ピーク(しかも意図的な誤報)のためだけに必要だという理屈に似ている。なんとしても辺野古移設が必要だという利権の存在が気になる。

●電気は足りているのに足りないという
こういう理屈が横行する時に注意すべきなのは、その理屈を横行させて利権を得る集団の存在だ。ありもしない不安を煽り、私に任せろと言って、ものすごく高い買い物を強要する。そこから得る強大な利益が利権となる。繰り返すが、この様相は、実は電気は足りているのに、「電気が足りないぞ」、「計画停電になるぞ」と不安を煽って、だから原発が必要だとして総括原価(電気代を経由した税金)で毎年数千億円の負担を国民に強いる原発などがその典型ではないか。

●キャンペーンは成功している
逆から見ると、実は電気が足りているからこそ、原子力セクターが必死になって「電気が足りないキャンペーン」を打つ。足りていると知られたら"自称ベース電源"の原発が不要だと知られてしまうから。そして、そのキャンペーンは成功している。原発ゼロが実現している日本で、いまでも「原発ないと電気足りないんでしょ?」という人に会う。奇跡的だ。沖縄に基地がないと中国の脅威に対応できないという種類の恐怖感について、いまいちど冷静に考えてみる必要がある。

●平和になると困る人たち
ここ数カ月の特定秘密保護法、日本版NSC、集団的自衛権容認論の動きを、上述の原発の議論に重ねると、実は世界が平和に向かうと困る人々を想起することになる。たとえば世界がいま平和に向かっているとすると、それを知られるとまずいので、懸命に不安を煽り、煽って軍産共同の利権を維持しようとする、という仮説だ。私は非武装中立論者ではないし、個別的自衛のための実力は当然に必要だと思っている。しかし、平和憲法における自衛と、安倍政権によって容認されようとしている集団的自衛はまったく異なるものであり、このまま過剰な脅威論から武器だ基地だというキャンペーンに乗ることのリスクについて、いまいちど国民的な議論や検証が必要だと思っている。

【報道ウォッチ13】 国民が決める10兆円の除染と賠償

2013年12月22日 23:51

宅地の仮置き場.JPG 造成した直後に被ばくした宅地が仮置き場になっていた。線量は毎時1.7マイクロシーベルト(年間8.7ミリシーベルト)。それでも随分下がってきたとのことだった。平成25年12月16日平智之撮影


【平智之の報道ウォッチ13】政府が全員帰還の原則を転換するとの報道。適切な方針転換だと思うが、帰る人と帰らない人の公平は難しい。東電の資金支援枠が5兆円から9~10兆円に拡大されるが、それなら細かいルールで除染・賠償をするよりも、20万世帯に対して平均5千万円で合計10兆円を直接被災者に支給する方が公平となるのではないか。

●収束宣言からオリンピックへ
特に西日本には、放射能とともに生活する現場の声が届きにくい。政府が伝えないからだ。3.11が起こった2011年の年末に野田総理が行った「収束宣言」から、先日の安倍総理の「アンダーコントロール宣言」まで、政府は一貫して、「もう終わった」「次へ向かおう」という空気の醸成に努めてきた。

●一方で苦渋の決断の日々
一方で放射線量の高い地域では、帰れるのか?帰ってその後は?避難先で生活を再建できるだろうか?などについて生活者に苦渋の決断を強いる日々が続いている。それが2年9カ月も続いている。3.11以来、原発事故の情報に触れてきた者として、被災地の生活者・地権者と、被災地の情報を持たない国民の間で意識のギャップが拡がっていくことに忸怩たる思いがある。

●住民ゼロの村で行われる除染
一週間前に被災地へ行った。大半が「居住制限区域」(20~50mSv)で人はいない。ここで除染作業が進んでいる。冒頭のとおり、政府は全員帰還の原則を転換したが、それは基本的には原子炉周辺から浪江町に至る年間50mSv以上(毎時に換算すると約9.6マイクロSv以上)の高線量となる帰還困難区域を想定しており、居住制限区域(20~50mSv)や避難指示解除準備区域(20mSv以下)は、年間1mSv以下に下げる努力をする。つまり帰還が前提となっている。

●一律90万円で「早く帰ろう」
だからこそ、今回の福島復興加速指針で「早期帰還賠償一律90万円」が発表されたのだろう。「早く帰ろう」という意思表示が政府によってなされている。政府は環境省、農水省、復興庁等から県を通じて村長、町長とつながる。「早期帰還で村や町の再生」がお題目となって3兆円もの巨額の除染資金が注ぎ込まれる。

●帰らないと決めた場合
すると、小さなお子さんを育てる家族が「帰らない」と決めた場合どうなるか。この点は、このブログをお読みのみなさんに、どうかご想像いただきたい。政府発表によれば帰還が前提の居住制限区域と避難指示解除準備区域の被災者は5万人を超えており、その多くが現在も避難しておられる。

●2階の子供部屋
帰還に際しては子供の生活環境の改善が課題だ。その点を現場で聞いた。実際に住宅1件1件の洗浄が行われていた。大きな庭を持つ屋敷の正面に除染作業者が5、6人見えた。聞くと屋根や側溝の洗浄だという。雨で屋根から流れる汚染水が雨水を受ける樋(とい)で線量を高めるため、2階の樋の近くに子供部屋がある場合が問題。だから特に屋根の洗浄が重要とのことだった。1件あたり数百万円と聞いた。

●除染水がそのまま川へ
しかし除染は難しい。たとえ屋根を高圧洗浄などで押し流しても、除染率が大して高くないうえに、除染水がほぼそのまま川へ流れているとのこと。「除染で流れる水の処理はしないのか?」と聞くと、「除染水の処理について私たち被災地の生活者から提言しているが、まったく聞いてもらえない」とのことだった。住宅さえ線量を下げればいいのか?川は生活圏ではないのか?3兆円の除染事業が住宅のセシウムを川へ流す、いわゆる"移染事業"だとすれば、被災地の生活者が納得するわけがない。帰還には結びつかないだろう。巨大な無駄になりかねない。

●オリンピックは福島とともにある
私は当初からオリンピック招致に賛成できないでいた。今も新国立競技場などの巨大建築について異論もあるが、しかし決まった以上は次代の夢につなげていただきたいと願う。しかし、その夢は国民全体が一緒になって、放射能と向き合う被災地の人々の気持ちを分かち合う前提だ。Fukushimaを引き合いにして得たオリンピック招致権なのだから、オリンピックは福島とともにある。

●本来は福島オリンピック
そもそも、「福島から離れている東京はキレイだ」という発想自体が極めて不謹慎だ。あの安倍総理の演説を聞いて強烈な違和感を持った。本気なら福島オリンピックに切り替えてでも、あるいはメインスタジアムを福島にするなどの計画があってもおかしくないところだ。それでもIOCが認め、日本が覚悟するなら、意義もあったと思う。

●補償・賠償が避難者を苦しめることも
発災当初から政府の近くに身を置き、暴走する崩壊熱の恐ろしさを見てきた者として、もっと現地のお気持ちを伝えたいと思うが、それがうまくできなくて申し訳ない。避難者のなかには、避難先で補償・賠償を受けていることを知られ、周囲から冷たい目で見られることを苦しく思っている方々もおられる。

●住む場所さえ手当してもらえれば
そういう方々は毎月の賠償を喜んでいない。村長や町長が力強く、「今後、10年でも20年でも賠償を求めていきます」と宣言しても喜んでいない。避難先での人間関係が20年もこじれ続けるからだ。2011年冬に被災地で聞いた。「避難先で住む場所さえ手当してもらえば、もう賠償はいいから、あとは自分で働いて生きていきたい」と。帰還したい人もいるが、新しい場所で生きていこうとする人もいる。

●住宅取得の負担は同じ
今回の福島復興加速指針では、原賠機構による交付国債枠が5兆円から9兆円に拡大された。除染費用と賠償に充てられる。しかし、帰宅困難区域の避難者には移住先の住宅取得費が補償されるのに、一方で居住制限区域と避難指示解除準備区域からの避難者には首長の意思決定等により帰還を前提とする除染費用しか賠償されないことがありえる。これでは公平感が生まれない。帰還しない避難者の住宅取得負担は、どこから避難しようが同じである。

●20万世帯に平均5千万円でも10兆円
福島県の帰宅困難、居住制限、避難指示解除準備の各区域の10数万人に、福島以外の10万人以上が属する世帯を加えて20万世帯に対して平均5千万円を現金給付しても最大で10兆円だ。ちなみに復興庁発表(平成25年11月14日現在)では全国の避難者数は約28万人だから20万世帯が目安だろう。各世帯がその5千万円のなかで、帰還して除染する、移住先で家を建設・購入する、貯蓄する、それぞれに任せればどうか。政府は原子力損害賠償機構への資金支援枠を5兆円から9~10兆円に拡大した。その10兆円の使い道をどうするか。数多くの補助事業や給付に細分化して官僚の仕事を増やすよりも、被災者に直接現金給付するほうが公平でわかりやすく納得も生まれるのではないだろうか。そもそも10兆円は国民の負担だ。被災地の実態、避難者の心情を国民に周知し、国民の納得を誘導するかたちで賠償のあり方を決めるようにするのが、この問題における政治の仕事だと思う。

【報道ウォッチ12】シビリアンコントロールを外すリスク

2013年12月12日 01:57

2009年前の自民党政権の構想.JPG


【平智之の報道ウォッチ12】次期防衛大綱のキャッチフレーズを「統合機動防衛力」とすることを閣議決定(17日予定)するとの報道。もしこれがシビリアンコントロールを外す目的なら極めて危険。秘密保護法に引き続き自衛隊法と防衛省設置法の一部改正に注視が必要だ。


●鳩山政権で阻止したが
実は2009年の政権交代直前に、自民党は自衛隊法と防衛省設置法の一部改正を進めていた。端的に言えば、防衛の問題(作戦や防衛力整備の問題)を、現在の文官統制から、制服組の統制に移動させようとしていたが、鳩山政権がその自民党の企てを阻止している。それが再政権交代で復活してようとしている可能性を懸念する。
●当時の自民党の企て
2009年政権交代前の自民党の企ては以下のようなものだった。
・文官の統制下にある運用企画局(防衛省内局にある作戦運用の要)の廃止
・そのうえで内局の防衛部門を統幕、陸、海、空の各幕に統合
・さらに作戦運用を統合幕僚監部(制服組)の専権事項に移動
・以上により総理⇒防衛大臣⇒統合幕僚長が直結(文官の不介入)
戦争直前を彷彿とさせる。ここに自民党構想の9条改正による国防軍が存在すれば、国民の総意も、官僚の制止も聞き入れず、総理周辺と軍部の独断専行で戦争に突入することができる体制となる。

●統合の問題
シビリアンコントロールの要諦は、防衛省内局の防衛部門と、自衛隊の統幕、陸、海、空の各幕との関係を独立させ、各幕に文官の影響を行使することで、文官と制服組との協調・緊張関係を築くというものだと思う。(誤解があればご指摘いただきたい)ところが、この内局と各幕の独立の原則を外し、さらに統合幕僚監部に対していわば"統帥権"を与えるようなことがあれば、これはシビリアンコントロールの排除となる。今回の閣議決定で"統合"という文字が使われることに危機感を覚える。

●自衛隊も望んでいないのではないか
私は今夏の参院選のさなか自衛隊駐屯地前で演説をした。「自民党が主張する国防軍は本当に必要なのか」「みなさんは自衛を約束して入隊されているはずだ」「重火器を持って集団的自衛の最前線に行くことは約束されていないはずだ」「身を呈して自衛に奉職するみなさんの意見が自民党の憲法改正案に反映されているとは思わない」と述べた。敷地の境界まで来て聞いてくれる自衛官もおられた。お考えは不明だったが、こうした自民党の動きに対する自衛隊や自衛官の意見も、もっと世論に影響を与えてよいと思う。

●なぜ閣議決定で終わるのか
大綱や基本計画は国民の総意を反映しない。たとえば、近くエネルギー基本計画で原子力推進の主旨が閣議決定されようとしているが、これは国会の決議を要しない。せいぜい与党の経済産業部門会議で、与党議員に対して文部科学省と経済産業省の担当部局から説明がなされるくらいで、たまに野党の議員が委員会で質問をするが、別に骨組みが変わることはない。エネルギーや原子力は国民の生活にもっとも大きな影響を与える政策項目のひとつなのに、総理と与党閣僚の意見調整だけで重大な意思決定が通過していく。これはおかしいとずっと思ってきた。今回の防衛大綱も同じだ。なぜ閣議決定で終わってしまうのか。予算案と同じように、事前議決・事前承認の原則を適用する検討が必要だ。

こういう議論が日本中で始まってほしい

2013年12月 7日 20:35

第一回 特定秘密倶楽部.JPG

都内の公開座談会


第1回 特定秘密倶楽部 公開座談会(2013.12.02)
「こういう議論が日本中で始まってほしい」


●公開座談会を開催
フェースブック上で特定秘密保護法案についての意見交換をしていたところ、「この議論はオープンにしたい」、「公開座談会をしよう」ということになり、先日(2013年12月2日)、都内で座談会を開催しました。約1時間40分です。

●特定秘密保護法案から政治のあり方まで
冒頭は採決直前の特定秘密保護法案についてですが、その後は、国会、民主主義、官僚制度、若者のあり方など、広範なテーマについて話し合いました。ご覧ください。こういう議論が日本中で始まってほしいと心から思います。

●特定秘密倶楽部とは
ところでビデオの冒頭に表示される「特定秘密倶楽部」は、座談会のなかで突然決まった、この公開座談会の愛称です。今後も開催できればと思います。

●開催の経緯はFacebookのウォールで
仕事場の階段スペースをご提供いただき、また三脚とカメラ2台で撮影と編集までしてくれた参加者のみなさんに感謝しながら、ここに座談会の動画を公開させていただきます。なお、この公開座談会が行われることになった経緯はFacebookのウォールをご覧ください。

【報道ウォッチ11】粘り強く仕事をする政治家

2013年12月 7日 03:32

【平智之の報道ウォッチ11】特定秘密保護法案が可決した。連日、議場での野党の抵抗の様子が報道されたが、こういう時こそ、陰ながらも粘り強く仕事をする政治家の存在も知りたい。

●根回しはなかったのか
【報道ウォッチ9】でも述べたが、衆参がネジレていない状況下で閣議決定された閣法が採決に付されたら、それが否決される可能性はほとんどない。ましてや首相が最重要と位置付ける法案で採決前の廃案は考えられない。だから、国会対策レベルの根回しなどで、なんとしても採決を回避し、来年通常国会での継続審議に持ち込む交渉ができなかったかと思う。そういう現場はもちろんTVには映らない。

●TVとのシンクロ
安倍首相の固い決意を知ってからは、野党の行動も難しくなっていた。反対野党としては、官邸前デモ等の拡大がTVで放送され、安倍首相が世論の動向や支持率を心配して今国会での採決を取りやめてくれないか。そして次期通常国会での継続審議の決断をしてくれないか、というかすかな希望にかけていたかもしれない。TVを通じたシンクロだ。だから議場での野党の抵抗は目の前の与党に対してではなく、院外のデモ等に向けられていた感じもする。もし反対野党の議員が議場で本気の闘いをしたら、どのような行動を取ったかを考えて欲しい。

●やるだけのことはやった?
しかし結果は、かすかな希望だから叶わず、予想通り可決したので、抵抗してきた野党の議員各位は「やるだけのことはやった」「力が足りなかった」という姿勢やコメントをTVで出すことになる。もし、そういうことなら、これはTVを通じて、「安倍総理、考えを変えて下さい」と言っているに過ぎない。取り引きでも駆け引きでもない。

●水面下の努力
TVには出ないが、継続審議に持ち込むための水面下の努力はなかっただろうか。飲みにくい法案と絶対飲めない法案を並べて、飲みにくい法案に賛成する代わりに、絶対飲めない法案を継続審議にしてくれ、というような交渉だ。そのような交渉をする野党議員は、当該野党から強く批判される。そういう交渉に取り組む議員は誰か。官僚がどんどん一貫性を強めているために、どんどんパフォーマンス化する政治を是正するためにも、パフォーマンスに走らないで現実的に粘り強く仕事をしようとする政治家を評価していけるようになればと、つくづく思う。でないと、そういう議員が増えない。

●来年の通常国会後半が本番
安倍総理は、特定秘密保護法に加えて、同じく本国会で通過した日本版NSC設置法の先に「集団的自衛権行使の容認」を見ている。安倍政権のこの方針は非常に強い。なぜなら昨年末の総選挙で自民党の政権再交代が起こる直前、自民党総務会が承認した憲法改正案に明記さているからだ。来年の通常国会は3月末までは主として予算案及び予算関連法案にかかるが、4月~6月は集団的自衛権議論の本丸に入っていくのではないか。国民は、この問題の所在や論点を調べ始める時だと思う。この問題で粘り強く現実的な交渉をする野党の政治家も探したい。私自身も、そうしたことを調べ、皆さんと議論できる場を作っていきたい。

新しい政治活動を模索します

2013年12月 1日 22:59

●政治的な立場をリセット
過日、京都市内の対談(IWJ中継)でも公表させてもらいましたが、その時に言い尽くせなかったことも含めて、以下にあらためて今後の私の活動方針をお伝えします。結論は、いったん自分自身の政治的な立場をリセットして、多様な活動に参加しながら、いままでとは違うやり方で、新しい政治活動のあり方を模索します。

●禁原発という主張
私は、昨年末(2012年12月)の衆院選、そして今夏(2013年7月)の参院選で落選しました。大飯原発再稼働に反対して民主党を離党した2012年夏から、みんなの党公認で闘った2回の国政選挙までの1年余にわたる活動で、「禁原発」という主張を十分に有権者に理解してもらうことができませんでした。

●暗澹たる思いと自責の念
過去2回の国政選挙では、脱原発を政策的に主張できる候補者が多く落選しました。速やかにゼロにする具体的なエネルギー政策、廃炉・除染などの技術的な後処理の方策、立地自治体や電力業界への激変緩和措置などを、日本の重要政策として科学的かつ現実的に主張できる政治家が国会に存在しない、との暗澹たる思いと自責の念があります。

●わかっているのに止められない
「いかにして速やかに原発をゼロにするのか」という政策は、これからの日本社会のキーポリシーです。3.11の放射能災害により原発が不可能なことは目の前に見えています。原発という問題はそれでも止められない問題です。それは少子高齢化に起因する年金破たんリスクの問題、グローバル化に起因する産業空洞化とマネー・フライ(おカネが海外に逃げる)の問題、米国軍縮に起因する極東軍拡競争の問題など、日本が直面する様々な国家課題と構造的に同じです。"わかっているのに止められない"問題です。原発がすぐに止められないなら、その他の課題も解決に向かうことはないでしょう。

●国民の情報収集と協議のしくみ
しかし、わかっているのに止められない問題に対して、政治は今後も無力であり続けます。選挙制度を変えても、政権交代をしても、定数と歳費を削減しても、同じことの繰り返しを続けるでしょう。政治のパフォーマンスと行政の一貫性が変わらないからです。もっと深く、政治に参加する国民の情報収集と協議のしくみを変えて、国民と政治の関係を修正できないか。演説、握手、戸別訪問、組織、公約からもう少し踏み込んで。それは自分の政治活動の過ちから学んだことでもあります。

●繰り返しを止める
そこで私は、こうした政治の繰り返しから抜け出すためにも、まず自分が同じことの繰り返しを止めるべく、自分の政治的な立場をゼロにすることからはじめます。2009年衆院選に挑戦するために歩き始めてから本日までの約5年間、政治家として享受させていただいた自分の政治的な立場を、感謝とお詫びとともに5年前に戻します。所属政党も後援会もなかった5年前です。現在、支部解散の手続きを進めています。

●多様な活動に参加
今後は、エネルギー分野の事業開発、執筆などの言論活動、市民の公益活動など、分野を問わず多様な活動に参加しながら、新しい政治活動のあり方を模索したいと思います。原発、福祉、国防などの国家課題に関する勉強会、公開座談会、メルマガなども始められればと思います。より具体的な活動については、その都度ご報告してまいります。十分に意を尽くせませんが、以上に今後の活動方針をお知らせします。

【報道ウォッチ10】シリア化学兵器と放射性廃棄物

2013年12月 1日 04:49

【平智之の報道ウォッチ10】シリア化学兵器の国外廃棄計画の一環で、受け入れ国が決まらないサリン原料などを地中海の公海上で船上処理する案が提案されたとの報道。同様に放射性廃棄物についても多国間の連携による処理及び保管の実現可能性について検討を始めてはどうか。

●いずれ取り出す施設
福島第一原発の放射性廃棄物の処理について、いま議論されているのは中間貯蔵施設であって恒久的な貯蔵施設ではない。政府は中間貯蔵施設の立地自治体と「いずれ必ず取り出す」旨の協定を交わす。

●永遠に置いてもらっては困る
中間貯蔵施設の立地自治体の声は「永遠に置くのなら断る」というものだ。それは当然で施設の周辺住民が認めない。中間という意味は、いずれ最終処理や恒久保管施設に運ばれるという前提である。

●核燃サイクルをやめたら中間貯蔵もなくなる
さて、核燃料サイクルとは、原子炉⇒燃料プール⇒中間貯蔵⇒再処理⇒原子炉である。ここでもし核燃サイクルをやめるとなれば、再処理しなくなるから、中間貯蔵も意味を失う。すると、だれも中間貯蔵施設を受け入れなくなって、原子力発電で次々と生産される使用済み核燃料を置いておく場所がなくなってしまう。だからこそ政府は、懸命に核燃サイクルの政策継続を主張しつづけている。

●六ヶ所の3千トンの行き場がない
六ヶ所の再処理施設にも処理を待つ使用済み核燃料が約3千トン中間貯蔵されている。もし核燃サイクルをやめると決まれば、自治体との協定により、その3千トンはもとあった各地の原発に送り返される。しかし送り返されてもプールが満杯に近い原発もあり、事態は紛糾すると予想されている。

●政府が再稼働にこだわるのも同じ
実は、政府が再稼働にこだわるのも同じ理由だ。もちろん柏崎刈羽の再稼働が東電への融資の条件になっている等の経済的理由もあるが、それよりも大きな問題として、もしこのまま1基も再稼働できなければ原発ゼロになるから核燃サイクルもなくなる。そして中間貯蔵も意味がなくなるので、六ヶ所の使用済み核燃料が全国に飛び出してくることになる。政府はなんとしても再稼働したい。

●国内問題では解けない
この事態に対応する唯一の方法は、使用済み核燃料を再処理しないでそのまま(ワンススルー)で恒久保管する最終処分場を明示することだが、「永遠に置くのなら断る」ので国内にそのような候補地はない。アメリカのユッカマウンテン、ドイツのゴアレーベンなどで知られる通りだ。この問題は将棋で言えば詰んでいる。国内問題として解こうにも解けない。

●世界的に同じ問題だから
現在は、国際法により海洋投棄も宇宙廃棄も禁止されており、「自国で出した核のゴミは自国で管理する」という原則がある。だから以上で述べたような政策の苦しみを各国がそれぞれに抱えている。ならば、シリアのサリンやマスタードガスの処理と同様に、放射性廃棄物についても国際連携で処理する枠組みの検討は有効だと思う。周知のとおり、シリアの化学兵器処理は「戦争回避」という危機的な問題意識でひねり出されたが、放射性廃棄物の処理も同様に危機的な問題である。規制委とJAEAには、IAEAに諮りながら、そのような仕事にも着手して欲しい。

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