平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ10】シリア化学兵器と放射性廃棄物

2013年12月 1日 04:49

【平智之の報道ウォッチ10】シリア化学兵器の国外廃棄計画の一環で、受け入れ国が決まらないサリン原料などを地中海の公海上で船上処理する案が提案されたとの報道。同様に放射性廃棄物についても多国間の連携による処理及び保管の実現可能性について検討を始めてはどうか。

●いずれ取り出す施設
福島第一原発の放射性廃棄物の処理について、いま議論されているのは中間貯蔵施設であって恒久的な貯蔵施設ではない。政府は中間貯蔵施設の立地自治体と「いずれ必ず取り出す」旨の協定を交わす。

●永遠に置いてもらっては困る
中間貯蔵施設の立地自治体の声は「永遠に置くのなら断る」というものだ。それは当然で施設の周辺住民が認めない。中間という意味は、いずれ最終処理や恒久保管施設に運ばれるという前提である。

●核燃サイクルをやめたら中間貯蔵もなくなる
さて、核燃料サイクルとは、原子炉⇒燃料プール⇒中間貯蔵⇒再処理⇒原子炉である。ここでもし核燃サイクルをやめるとなれば、再処理しなくなるから、中間貯蔵も意味を失う。すると、だれも中間貯蔵施設を受け入れなくなって、原子力発電で次々と生産される使用済み核燃料を置いておく場所がなくなってしまう。だからこそ政府は、懸命に核燃サイクルの政策継続を主張しつづけている。

●六ヶ所の3千トンの行き場がない
六ヶ所の再処理施設にも処理を待つ使用済み核燃料が約3千トン中間貯蔵されている。もし核燃サイクルをやめると決まれば、自治体との協定により、その3千トンはもとあった各地の原発に送り返される。しかし送り返されてもプールが満杯に近い原発もあり、事態は紛糾すると予想されている。

●政府が再稼働にこだわるのも同じ
実は、政府が再稼働にこだわるのも同じ理由だ。もちろん柏崎刈羽の再稼働が東電への融資の条件になっている等の経済的理由もあるが、それよりも大きな問題として、もしこのまま1基も再稼働できなければ原発ゼロになるから核燃サイクルもなくなる。そして中間貯蔵も意味がなくなるので、六ヶ所の使用済み核燃料が全国に飛び出してくることになる。政府はなんとしても再稼働したい。

●国内問題では解けない
この事態に対応する唯一の方法は、使用済み核燃料を再処理しないでそのまま(ワンススルー)で恒久保管する最終処分場を明示することだが、「永遠に置くのなら断る」ので国内にそのような候補地はない。アメリカのユッカマウンテン、ドイツのゴアレーベンなどで知られる通りだ。この問題は将棋で言えば詰んでいる。国内問題として解こうにも解けない。

●世界的に同じ問題だから
現在は、国際法により海洋投棄も宇宙廃棄も禁止されており、「自国で出した核のゴミは自国で管理する」という原則がある。だから以上で述べたような政策の苦しみを各国がそれぞれに抱えている。ならば、シリアのサリンやマスタードガスの処理と同様に、放射性廃棄物についても国際連携で処理する枠組みの検討は有効だと思う。周知のとおり、シリアの化学兵器処理は「戦争回避」という危機的な問題意識でひねり出されたが、放射性廃棄物の処理も同様に危機的な問題である。規制委とJAEAには、IAEAに諮りながら、そのような仕事にも着手して欲しい。

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