平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ12】シビリアンコントロールを外すリスク

2013年12月12日 01:57

2009年前の自民党政権の構想.JPG


【平智之の報道ウォッチ12】次期防衛大綱のキャッチフレーズを「統合機動防衛力」とすることを閣議決定(17日予定)するとの報道。もしこれがシビリアンコントロールを外す目的なら極めて危険。秘密保護法に引き続き自衛隊法と防衛省設置法の一部改正に注視が必要だ。


●鳩山政権で阻止したが
実は2009年の政権交代直前に、自民党は自衛隊法と防衛省設置法の一部改正を進めていた。端的に言えば、防衛の問題(作戦や防衛力整備の問題)を、現在の文官統制から、制服組の統制に移動させようとしていたが、鳩山政権がその自民党の企てを阻止している。それが再政権交代で復活してようとしている可能性を懸念する。
●当時の自民党の企て
2009年政権交代前の自民党の企ては以下のようなものだった。
・文官の統制下にある運用企画局(防衛省内局にある作戦運用の要)の廃止
・そのうえで内局の防衛部門を統幕、陸、海、空の各幕に統合
・さらに作戦運用を統合幕僚監部(制服組)の専権事項に移動
・以上により総理⇒防衛大臣⇒統合幕僚長が直結(文官の不介入)
戦争直前を彷彿とさせる。ここに自民党構想の9条改正による国防軍が存在すれば、国民の総意も、官僚の制止も聞き入れず、総理周辺と軍部の独断専行で戦争に突入することができる体制となる。

●統合の問題
シビリアンコントロールの要諦は、防衛省内局の防衛部門と、自衛隊の統幕、陸、海、空の各幕との関係を独立させ、各幕に文官の影響を行使することで、文官と制服組との協調・緊張関係を築くというものだと思う。(誤解があればご指摘いただきたい)ところが、この内局と各幕の独立の原則を外し、さらに統合幕僚監部に対していわば"統帥権"を与えるようなことがあれば、これはシビリアンコントロールの排除となる。今回の閣議決定で"統合"という文字が使われることに危機感を覚える。

●自衛隊も望んでいないのではないか
私は今夏の参院選のさなか自衛隊駐屯地前で演説をした。「自民党が主張する国防軍は本当に必要なのか」「みなさんは自衛を約束して入隊されているはずだ」「重火器を持って集団的自衛の最前線に行くことは約束されていないはずだ」「身を呈して自衛に奉職するみなさんの意見が自民党の憲法改正案に反映されているとは思わない」と述べた。敷地の境界まで来て聞いてくれる自衛官もおられた。お考えは不明だったが、こうした自民党の動きに対する自衛隊や自衛官の意見も、もっと世論に影響を与えてよいと思う。

●なぜ閣議決定で終わるのか
大綱や基本計画は国民の総意を反映しない。たとえば、近くエネルギー基本計画で原子力推進の主旨が閣議決定されようとしているが、これは国会の決議を要しない。せいぜい与党の経済産業部門会議で、与党議員に対して文部科学省と経済産業省の担当部局から説明がなされるくらいで、たまに野党の議員が委員会で質問をするが、別に骨組みが変わることはない。エネルギーや原子力は国民の生活にもっとも大きな影響を与える政策項目のひとつなのに、総理と与党閣僚の意見調整だけで重大な意思決定が通過していく。これはおかしいとずっと思ってきた。今回の防衛大綱も同じだ。なぜ閣議決定で終わってしまうのか。予算案と同じように、事前議決・事前承認の原則を適用する検討が必要だ。

ページの先頭に戻る