平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ16】 「五輪返上」の間違い

2014年1月19日 09:39

東電は原発以外62%で可能.jpg


【平智之の報道ウォッチ16】「いますぐ原発ゼロなら五輪返上しかなくなる」との公職の発言。政治家は独自に調べて自分の責任で語るべき。いますぐ原発ゼロでもその他電源の利用率6割で東電管内の電力量は足りる計算。


●いまでも「電気が足りない」という不安
「五輪返上」は森元首相の発言だが、このような考えは意外と広く蔓延している。東電管内は3.11から3年近く原発ゼロで問題はないのだが、いまだに「いますぐ原発ゼロはムリだ」「電気が足りなくなる」という不安を抱く人々がいる。

●原発の出力は23%に過ぎない
東電の公表資料「平成25 年度 数表でみる東京電力」によると、東電管内の最大電力は平成13年で6,430万kW。うち原子力の出力は1,449.6万kW(平成25年3月末)。差引4,980.4万kWが原発以外(火力、水力等)の電力であり、原発の出力は全体の23%である。原発以外の電力(全体の77%)で本当に足りないのか。

●火力、水力を6割利用すれば足りる
計算上では十分に足りる。東電管内の販売電力量(平成24年度)は269,033百万kWh。設備利用率で計算すると、上述の原発以外の電源4980.4万kWを61.7%利用すれば販売電力量を供給できる。つまり、いますぐ原発ゼロでも原発以外の電源を約6割利用すれば東電管内の電力量は足りる計算となる。もちろんピーク電力が足りることは言うまでもない。東電管内は3.11以降、原発ゼロで夏のピークを3回クリアしている。

●政治家が情報を自分で収集・分析すべき
森元首相の「五輪返上」だけでなく、野田元首相の「福島第一原発収束宣言」も、安倍政権の「アンダー・コントロール宣言」もすべて間違いだった。その間違いの原因は政治家が情報を独自に収集・分析し、自分の責任で発言していないことにある。「資源エネ庁、規制委員会がそう言ったから」という程度だろう。上述の計算のように自らの見解の根拠を示せば具体的に指摘を受けることができる。そこに議論が生まれる。政治と行政の緊張感が生まれる。政治主導を実現するためにも、政治側に官僚機構とは独立の情報収集・分析能力が必須だ。ところで菅政権当時の官邸による「SPEEDI情報隠ぺい」は間違いではなく政治側の確信犯的行為だから別格に深刻な問題であることを付言しておく。

ページの先頭に戻る