平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ18】原発ゼロで企業が海外に逃げるか?

2014年1月26日 10:43

電気代は0.3%.jpg


【平智之の報道ウォッチ18】電気代で製造業が海外に逃げるか?早朝の報道番組で「いますぐ原発ゼロだと電気代で企業が海外に逃げる」との発言。しかし平均的な中小製造業の生産コストに占める電気代の割合は1%に満たない。


●「電気が足りなくなる」と同じ風説
「いますぐ原発をやめると電気が足りなくなる」という風説(意図的な間違い)と同じように、「いますぐ原発をやめると電気代が上がって企業が海外に逃げる」という風説がある。しかし平均的に電気代の占める割合はとても小さい。

●電気代の割合は0.3%未満
以下はあくまでも平均的な話だ。実際に昨年の10~20%の電気料金値上げで苦境に立たされている企業がおられることは否定しない。しかし国家政策である以上、平均的な状況把握がまず必要だ。中小企業庁公表の統計データで製造業の平均的な水道光熱費割合がわかる。製造業の中小企業分類(売上高5億円~10億円)のデータで算出すると上図のようになる。コスト(売上原価と販管費)に占める電気代の割合は0.3%にも満たない。

●電気代を理由に海外に逃げるリスクが取れるか?
電気代の上昇で企業が海外に逃げるというが、そもそも海外に逃げるというリスクは途方もなく大きい。精錬等の一部ケースを除いて、「電気代が高いから」という理由で海外に逃げるのは希ではないか。普通に考えて、企業のリスクファクターは圧倒的に材料費や外注費や人件費だ。法人税率もある。電気代が2割上がっても全体では0.06%(0.3%×20%)のインパクトだから、その分を減税すれば済む程度だ。

●自家発電でアルミ最大手は日本にいる
よく精錬のアルミが海外に逃げたという話が引き合いに出されるが、国内のアルミ精錬大手は自家発電(水力発電)で価格競争力を維持しており海外には移転していない。非常に重要な事例だ。今後は自家発電設備設置の規制緩和とPPS(新電力)の普及を後押しすればよい。まさに政策次第だ。

●企業人は知っているはずだ
原発ゼロだと五輪返上、原発ゼロだと電気が足りない、原発ゼロだと企業が逃げる、すべて一般論としては事実に基づかない。こういう風説がTVでコメンテーターから流布されることは問題だが、特に企業人が言う場合には留保が必要だ。企業人なら電気代を理由に海外に逃げるかどうかよく知っているはずだ。優秀な人材の確保やサプライチェーンや免税減税措置こそが海外移転のインセンティブだと知っているはずだ。正確に「国内の原発需要が必要だ」という自社問題として主張されればどうか。

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