平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ25】 日本を危険にさらす紛争当事国への武器輸出

2014年3月 3日 23:45

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3月1日「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合」(CEAPAD)第二回会合


政府はパレスチナ開発に2億ドルの支援を表明しながら一方で武器輸出規制緩和によりイスラエルへのF35部品供与に道を開こうとしている。一方にお金で一方に武器。武器輸出だけよりも更にアラブと世界の信用を失う。


●F35(次期ステルス戦闘機)の部品
現在、武器輸出三原則のひとつである「紛争当事国に武器を輸出しない」という条件により日本はパレスチナの紛争相手国であるイスラエルに武器輸出できない。ところが政府は、経団連防衛生産委員会からの要望もあり、成長戦略の一環だとしてこの紛争当事国規制を外すという。するとイスラエルへのF35(次期ステルス戦闘機)の部品供与が可能となり、アラブ諸国の大きな脅威になることが懸念されている。

●パレスチナ開発に約200億円
一方で政府は一昨日(3月1日)、安倍政権誕生直後(2013年2月)に日本主導で立ち上げた「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合」(CEAPAD)第二回会合の場(ジャカルタ:上写真)で2億ドル(約200億円)をパレスチナ開発に拠出すると表明した。「アジアが協力して中東和平に貢献」という主旨だ。

●一方に武器で一方にお金
こんな話が通じるだろうか。日本の成長戦略(輸出増)のためにイスラエルに武器を輸出し、その一方で、脅威にさらされるパレスチナに対してはキャッシュを払っておくというやり方をアラブの人々はどう思うだろうか。(下図)

●情に厚いパレスチナの人々
実はユダヤの人々と同様にパレスチナの人々も米国をはじめとした先進諸国の各層に存在する。知人から得た印象だが国際的で勤勉で誇り高く情に厚いパレスチナの人々がこの点を見逃すとは思えない。

●なぜアラブの人々が日本に友好的なのか
確かにアラブの人々の日本への友好意識の背景には経済援助もあるだろう。パレスチナだけでも93年から昨年までの支援額は約13億ドル(約1300億円)に達している。しかしそれよりも日本が中東和平問題に「武力介入してこなかった」ことが大きいとされる。

●平和国家の日本人が言うなら
たとえばアフガン紛争当時の日本の国連平和維持軍武装解除部長(伊勢崎賢治氏)は「唯一、武力介入しなかった日本だったからこそ現地のアフガン人武装勢力のところへ丸腰で赴いて武装解除を実現させることができた」という主旨のことを述べている。「平和国家の日本人が言うなら」というイメージが紛争地にも定着している。これは戦後の日本外交が培った成果であり、武力では獲得できない交渉力という点で欧米にはない財産だろう。

●戦後平和外交の廃棄
しかし今、日本はその財産をあっさり放棄しようとしている。イスラエルへの武器輸出を解禁したら、アラブ社会における平和国家日本というイメージは崩れ、これまでの外交努力が育ててきた中東和平推進者というポジションを失う。紛争当事国に対する武器輸出は日本の安全保障を担保する平和外交の強力な切り札を捨て、日本を危険にさらすという点を深刻に考えるべきだ。


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