平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ28】 ヘーゲル長官は歓迎か?支持か?

2014年4月20日 01:20

ヘーゲル長官 歓迎と支持.jpg

4/5日経新聞(Web刊)に「集団的自衛権の行使容認 米国防長官、支持を表明」との見出し。しかし米国防総省公表のヘーゲル長官回答には集団的自衛権について「Welcome(歓迎)」とあるが「Support(支持)」はない。歓迎は支持でも賛成でもない。ミスリードではないか。


●WelcomeとSupportの違い
外交における英単語のニュアンスの違いに詳しくはないが、一般的にWelcomeとSupportの意味はかなり異なるだろう。集団的自衛権の行使容認の議論についてWelcomeと言えばせいぜい「どうぞ議論して下さい」「議論することは有意義だ」という程度の意味であり、「容認賛成」とまでは拡大できない。一方Supportと言えば、それは米国が積極的に行使容認を後押しするのであり、ほぼ「容認に賛成」という意味になる。

●記事中には「支持を明言」とまで
見出しは「支持を表明」としており、さらに記事中ではヘーゲル長官が「支持を明言」とまで書いている。これはもう米政府が日本の集団的自衛権の行使容認に賛成しているという報道ではないか。

●米国があからさまな行使容認は考えられない
日中、日韓の関係修復を期待し、安倍首相の靖国神社参拝にDisappointed(失望)した米国が、あからさまに集団的自衛権の行使容認を支持することは常識的には考えられなかった。報道当初から気になっていたので調べてみた。

●米国防総省が公表するヘーゲル長官回答
米国防総省の報道機関であるThe Defense Media Activity公表文(American Forces Press Service記事)で日経新聞社に対するヘーゲル長官の回答を調べた。WelcomeとSupportが使われている部分を抜粋すると以下のとおり。

The United States recognizes Japan's long-standing commitment to regional and global peace and stability and we welcome(歓迎する) Japan's efforts to play a more proactive role in the Alliance, including by reexamining the interpretation of its Constitution relating to the right of collective self-defense. (集団的自衛権に関する憲法解釈を再検討すること)

We also support(支持する) expanding the role of the Japan Self Defense Forces within the framework of the Alliance(日米安保の枠組みにおける自衛隊の役割拡大), investing in cutting-edge capabilities(cutting-edge(前方展開?)能力への投資), improving interoperability(日米合同作戦能力の向上), modernizing force structure(実力の近代化), and adapting Alliance roles and missions to meet contemporary and future security realities(現在と将来の有事に対応する安全保障の役割と使命の採用).

●SupportではなくWelcome
ヘーゲル長官の回答文(上記)を見る限り、集団的自衛権の行使容認については憲法解釈の議論をWelcome(歓迎)しているがSupport(支持)しているとは読めない。ましてや「支持を明言」とはとても読めない。

●各紙を並べ読みすること
どうも微妙だと感じる報道については、各紙を並べ読み、比べ読みすることが大切である場合が多い。参考までにヘーゲル長官が行った集団的自衛権の行使容認(に向けた議論)に対する発言について各紙の報道を上図にまとめる。「Welcome(歓迎)」との報道が多い。歓迎は支持や賛成ではない。最後にもう一度、現今の極東情勢を考えて、公式に米国政府が日本の憲法解釈の変更をSupport(支持)すると明言するとは考えにくいという点を述べておきたい。支持したいと考える研究機関や識者が米国にいることは別である。

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