平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ29】 米国は「行使容認を支持」とは言ってない

2014年4月27日 23:26

日米共同宣言.jpg

本日(4/27)、NHKは討論番組のなかで日本の集団的自衛権行使容認を「米国が歓迎し、支持した」と断定した。しかし日米共同声明(4/25)には「米国が行使容認を支持した」とは書かかれていない。


●歓迎し支持したこと
前回の【報道ウォッチ28】と同様の視点だが、その後に発表された日米共同声明で再び問題ある報道がなされているので、ここに詳細を述べる。外務省及び米国ホワイトハウスのホームページに日米共同声明(4/25/2014)が掲載されている。集団的自衛権(the right of collective self-defense)の部分を以下に抜粋する。

(英文)
The United States welcomes and supports Japan's consideration of the matter of exercising the right of collective self-defense.

(外務省邦訳)
米国は,集団的自衛権の行使に関する事項について日本が検討を行っていることを歓迎し,支持する。


●行使そのものを歓迎し、支持したわけではない
上図で構造をご覧いただきたい。歓迎し、支持したのは「行使そのもの」ではなく「検討を行っていること」である。「行使の支持」と「検討の支持」は意味が違う、というのが常識だろう。もし米国が行使容認を歓迎し、支持したのなら次のように表現すると思う。

The United States welcomes and supports Japan's exercising the right of collective self-defense. (米国は,日本の集団的自衛権の行使を歓迎し,支持する)

NHKだけでなく多くのメディアが「集団的自衛権の行使容認を米国が支持」という見出しを打ち、米国が強く行使容認を求めているかのような印象を国民に与えているのは問題ではないか。


●「個別的自衛権の範囲」の解釈も検討対象
米国は当然のことを歓迎し、支持している。関心の中心はオバマ大統領の政策である国防費削減の遂行とそれにともなう軍備配置の変更(ex.アジア太平洋リバランス)の継続をアジア主要国である日本で宣言することだろう。そのために日本がいま、極東を含む現今のアジア情勢に鑑みて「何ができて何ができないのか」を集団的自衛権行使の違憲を前提に再検討することは当然である。特に「集団的自衛権の行使が違憲だから国際貢献できない」としばしば指摘される事態想定が実は「個別的自衛権の範囲」で解釈できないか、もう一度吟味することもまた当然であろう。


●行使容認への賛成・反対ではない
もちろん共同声明の表現は集団的自衛権の行使容認に反対もしていない。日本国民が憲法96条による国民投票で9条改憲を選択し、集団的自衛権の行使を容認する判断を示すのも合憲であるから、そのような結論に至ることを共同声明が排除できる道理もない。共同声明は行使容認への賛成・反対を表明しているのではなく、あくまでも現行憲法で集団的自衛権の行使が違憲であること(matter of exercising the right of collective self-defense)を前提として、極東を含むアジア和平に日本がどのように貢献できるかを国民的議論として検討すること(Japan's consideration)を歓迎し、支持しているのだと考えるのが自然ではないか。いきなり「集団的自衛権の行使容認を米国が支持した」と報道することにはメディア側の恣意性を感じる。

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