平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ30】 川内原発-国会議員の検証力の問題

2014年7月16日 16:18

川内原発審査書案.jpg

平成26年7月16日 原子力規制委員会の配布資料(川内原発の審査書案)


川内原発が「今秋にも再稼働する見通し」との前のめりな報道。根拠は規制委から公表された審査書案だが、まだあくまでも(案)の段階だ。国会議員が火山、サイバーテロ、基準地震動等の過小評価を論理的に指摘すれば、審査書案を"吊るす"か"撤回"に持ち込むことはできるはずだ。


●審査書案の位置づけ
「川内原発が秋にも再稼働の見通し」という報道の根拠は審査書案にある。審査書案とは、九州電力から提出された再稼働申請書(正確には「発電用原子炉設置変更許可申請書」)に対する委員会側としての審査の途中経過。つまり以下のような構図である。
・九州電力→規制委     再稼働の申請書
・規制委→経産省、九州電力 上記申請書の審査書案
この審査書案が正式に審査書になれば、立地自治体の議会承認等を経て経産省による再稼働の許可となる。つまり、この資料はまだ(案)の段階なのであり、明日、平成26年7月17日(木)から平成26年8月15日(金)までの約一か月公開されて議論に付される。

●まだ案に過ぎない
「秋にも再稼働の見通し」という報道は新聞社として断言が過ぎる。審査書案は(案)であるから本来的に規制委の内部資料であり、まだ修正を続けているところのものだ。現案では、火山噴火、サイバーテロ、基準地震動等が著しく過小評価されている可能性が高く、規制委に新たな検討項目や基準が加われば、当然案も変更される。だからこそ公表している。

●審査書案と避難計画と
少なくとも九州選出の国会議員におかれては、川内原発の審査書案を読み、規制庁の担当官から不明点の説明を求め、さらに規制委員の聴取を行うなどして、内容に矛盾がないかを徹底的に検証いただきたい。あわせて地元県市町村の避難計画も検証いただきたい。

●動かせるはずがない
国民はパブコメとして意見を寄せることになるが、国会議員の場合は規制委の事務局である規制庁の担当官から直接回答を求めることができる。担当官がきちんと回答できなければ審査書案を審査書として決定できない(立法・行政の分立の微妙なラインもあるが)ので再稼働はできない。先述の火山、サイバーテロ、基準地震動等の過小評価の指摘に対して、規制委からの合理的な回答は不可能だと思う。政治が論理的な交渉をすれば再稼働はできない。だから政治の責任は重い。

●国会議員の検証力の発揮を
重ねて主張したいが、国会議員が論理的に規制庁の担当官や規制委員を追求すれば再稼働はできない。だから数十名の脱原発を掲げる国会議員(主として野党)はきちんと審査書案の"検証"という仕事を貫徹してほしい。

●冷静に政治家を見定めてほしい
審査書案の修文協議と撤回は「再稼働反対」という連呼の問題ではない。プロフェッショナルな検証力の問題だ。「やるだけやった」「再稼働などけしからん」「政府の横暴だ」という言辞や抗議行動ではなく、行政との"手続的"な仕事で原発を止めることができるかどうか、冷静に政治家を見定めてほしい。

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