平智之の活動ブログ

【報道ウォッチ33】 1号機建屋カバー撤去で思い出すこと

2014年10月22日 23:02

1号炉カバー設計.jpg

●本日(10/22)から1号機のカバーの解体
本日から福島第一原発で唯一カバーに覆われていた1号炉建屋で、そのカバー解体工事が始まったとの報道。2011年11月に設置されたが、3年後に燃料プールから燃料棒を取り出すために撤去が必要とされている。

●技術力を要する工事だった
1号炉カバーは13~14階建のビルと同じくらいの高さで54m。東京ドームの高さが56mでほぼ同じであり、平面(東西×南北)は東京ドームの1/6。つまり1号炉建屋カバーを6つ合わせると、ちょうと東京ドームになる。大きな構造物だ。

●1号炉建屋カバーの設置をお願いしたのは私だった
1号炉建屋カバーの設置を要請したのは私だった。2011年に夏、私は東電に出向いて建屋にカバーをかけてくれるよう強く要請した。

●東電エンジニアと私の会話
東電の施設部は当初消極的だった。当時の東電エンジニアと私の会話の概要を以下に再現する。
平:「核分裂生成物の飛散を防止するために建屋にカバーを付けてほしい」
東電:「それは難しい」
平:「なぜ難しいのか」
東電:「熱も放射能もこもるから作業環境が悪くなる」
平:「放射能飛散の防止が最優先だ」
東電:「作業環境も大切だ」
平:「フィルターや空調などで工夫できないだろうか」
東電:「そのまえに巨大な覆いだから重量的にも難しいだろう」
平:「なんとかならないか」
東電:「放射能飛散の防止という目的は納得する」「検討してみる」

●真剣さに真剣に応える
その東電エンジニアとは統合本部でその後も何度もお会いした。私も参加していた統合本部で1号炉建屋カバーの計画概要を説明しておられた。そのエンジニアは統合本部で何度か私に向けて「平さんは真剣に考えている」という主旨のことを言ってくれた。その真剣さに、ご自身の東電でのお立場を賭して応えてくれたのだと信じている。

●私が東電を敵視しない理由
結果として、統合本部は1号炉建屋にカバーを設置することを決定した。私の実感として上述の東電エンジニアとは理屈と常識で話ができた。純粋にエンジニアとして放射能飛散防止の意義とカバー設置の工学的困難さを比較しておられた。この経験から私は、東電が「3.11直後に吉田所長や東電トップが撤退を考えていた」という説に疑問をもっている。撤退は理屈にも常識にも合わず、東電がそのような判断をする組織とは思えないからだ。当時の民主党官邸(総理、官房長官、副長官等)が東電悪人説による自己正当化を認識して誘導している可能性を感じている。

●立派な姿勢を思い出す
現場は真剣で真摯な判断でうまく動く。「まあいいか」はない。現場で妥協を許さない人間同士に相手を謀ったり陥れる意図は働かない。その点が理解されないのが残念だ。1号炉建屋のカバー撤去の報道で、あの夏の暑い日に、「検討してみる」と発言された東電エンジニアのプロとしての姿勢を思い出す。

ページの先頭に戻る