平智之の活動ブログ

お釈迦さんの「伝えられない」

2016年4月24日 16:19

弘法さん20160421.jpg

平成28年4月21日 大宮東寺道の門前にて

●春雨の弘法さん
本日も弘法さん(2016年4月21日)の日、大宮東寺道の門前に立たせてもらいました。
春の日差しと思いきや春雨。しかし心地良い空気でした。
次のようなお話をさせてもらいました。

●もともと心のなかにある
高校時代の宗教の時間、とても気になることを教わりました。「仏の教え(真理の境地)は、どこか遠くにあるのではなく、最初から君たちの心の中にある」そのことを弘法大師は次の様に表現されたそうです。
『仏法遥かにあらず、心中にして即ち近し』
お葬式でお棺の仏さんが生前には見られなかったほど優しいお顔をされるのを、みなさんもご存じだと思います。意地も恨みも怒りもなくなって、額や目元や口元から緊張がなくなると、もともとのお顔に戻る。仏さんは最初から心中におられたのかなと、ふと感じますね。

●伝えられない、いや伝えて欲しい
また次のことも、とても気になることでした。「お釈迦さまが真理に気付いたとき、こんな微妙なことを人々に"伝えられない"と言われた」と。40年前の高校生当時の私にとって、これは非常に気になりまして、いまでもその時の先生の表情をはっきりと覚えております。それでは、なぜお釈迦さまは布教されたのか。「神が降りてきて、どうか広く伝えて欲しいと何度も頼まれた。それでお釈迦さまは布教の旅を始められた」と。神とは梵天や帝釈天だそうで、この経緯を「梵天勧請」というのだそうです。つまり「伝えるか」「伝えないか」について非常に悩まれたのではないでしょうか。

●世界の宗教のこれから
このようにして始まり、拡がり、根付いてきた仏教がいま日本で危機的な状況にあるとの研究があります。在来仏教では檀家数の減少と住職不在で廃寺が急速に進行しており、また新宗教でもごく一部を除いてその会員数が急減しているとの分析もあります。フランスでは政教分離政策の帰結として、またドイツでも宗教税などの影響でキリスト教徒が減少傾向なのだそうです。また米国も全体としてはキリスト教徒が多数派ですが、白人だけを見ると無宗教や無神論が伸びていると。

(参考情報)
・日本国内7万箇寺のうち今後10年程度で2万箇寺が廃寺のリスクとの分析あり
・フランスでは毎日曜教会へ行くカトリック信者の割合が27%(1952年)から4.5%(2010年)にまで減少との調査あり
・ドイツはドイツ国教会の維持費を税(所得の8~10%程度)で保障
・カリフォルニア州では白人キリスト教徒の割合が25%で少数派とのデータあり


●国王が英国国教会の首長
英国でも国民の7割がキリスト教で、うち6割が国教会だということですが、国教会の教会が少しずつ廃止になりつつある、とのニュースもあります。英国は国王たるエリザベス2世が英国国教会の首長を兼ねていますから、そのような事態は好ましくないとお考えでしょう。そのエリザベス2世の90歳のお誕生日が、今日の弘法さんと同じ4月21日(1926年4月21日)であります。世界の英国連邦の国々でお祝いされていると思いますが、国教会の将来についても、いろいろお考えなのではないでしょうか。

(参考ニュース)
英国⇒国教会では毎年約20カ所程度の教会閉鎖
ドイツ⇒カトリック教会が過去10年間で500教会を閉鎖
オランダ⇒カトリック教会(現在1,600)の3分の2が10年以内に閉鎖予測
フランス⇒カトリック教会が廃止でイスラム寺院に転売された事例、など

●福音派とムスリムの拡大
これからの宗教はどうなっていくのでしょうか。中国では貧しい内陸部から仕事を求めて沿岸部に大量の人々が移動し、そうして都市部に移住した人々の寂しい心の隙間を埋めるようにキリスト教の福音派が拡大しているそうです。一億人規模とも言われます。(『宗教消滅 資本主義は宗教と消滅する』、島田裕巳著、SB新書を参照 )最近、習近平国家主席が「仏教は中国の文化だ」と発言したのは、この福音派の急拡大への配慮も関係していると言われています。ブラジルでも福音派が急拡大しているそうです。またご案内のとおり、大量の移民に揺れる欧州ではイスラム教を信じる人々が拡大しています。

●これからの宗教
縮小するところ、拡大するところ、世界で相半ば。でもよく考えると、この拡大とか縮小とは、何々教とか教団の信者数という形式や数字のお話しですよね。そこでもう一度思い出します。お釈迦さまが「伝えられない」と思われた点です。金銭欲や名誉欲や差別感などにまみれない穏やかな気持ちは、本来私たちが心中にもっていて、だから自分の内面で気付けばいいことだと。もしかするとお釈迦さまは、教団とか形式とか所作などが、そもそも人々の気づきのお手伝いをすべきところ、その維持や拡大を目的としてしまうことに最初から気づいておられたからこそ「伝えられない」と言われたかもしれないと勝手に感じます。もともとご自身が王子でしたから、国家管理の"形式の力"の副作用に敏感だったかもしれません。

●宗教と信仰の並存
組織力や信者数という形式を「宗教」と呼び、個々人の信じる力(あるいは理想の力)を「信仰」と呼ぶとすれば、これから宗教と信仰が並存するかたちで世界の人々に浸透していくのではないか。そこから政治や経済にさまざまは現象がもたらされるかもしれないと、今日はそのようなお話をさせていただきました。また来月参ります。ありがとうございました。

●平智之の報道ウォッチ(ラジオ番組)
2016年4月21日、弘法さんの街頭でお話しした内容の一部をラジオ番組で語りました。
平智之の報道ウォッチ【FM79.7MHz京都三条ラジオカフェ】
2016年4月23日放送分『英国国教会首長の誕生日』
スペインのイスラム化などについても語りました。すこし複雑な内容になりました。

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