平智之の活動ブログ

平智之のひとりごと

IMFがBrexit直後の英国経済好調を認めた

2016年10月10日 13:26

Guardian英国好調.jpg

2016年10月4日 The Guardian の記事


●IMFは予測を修正か?
先日IMFが、EUを離脱した英国の今年の経済が好調だと認めた。
6月末の国民投票前にはIMF自身が「英国の株価はクラッシュするだろう」などと非常にネガティブな予測を公表していたから、IMF自身が予測の修正を一部認めたことになると思う。(今年が好調なのであって、来年以降の長期はわからない、と言うだろうから)

●英国がG7で最も早い成長
英国紙Tha Guardianは10/4に次の見出しで報じた。
"Britain will be fastest growing G7 economy this year, says IMF"
(「英国経済は今年G7で最も早く成長するだろう」とIMFが言った)

●IMFの株価予測は外れた
確かに国民投票直前にIFMのLagarde専務理事自らが"firmly to the downside"(景気悪化は確実)と明確に断じていたし、IMFとして"Brexit could spark a stock market crash"(Brexitで株価は急落しうる)との予測を公表していた。ところが、その予測は外れた。上記Guardian記事によると、国民投票日の6/23以降だけでFTSE100(ロンドン商取の株価インデックス)が12%上昇している。(それ以前から上昇していたが、そのままBrexitを織り込みながら上昇したようだ)

どういうことだろうか。

●Brexitで自国通貨安
そもそも現在、世界各国は株価や輸出にプラスの効果が期待できる自国通貨安競争を繰り広げている。日本もそうだ。そのなかでBrexitは最大の通貨安戦術になったと言えるかもしれない。一時1985年6月以来の30年ぶりのポンド安をつけている。株価が上がるわけだ。

●単なる短期的な効果か?
その意味で現段階でのIMFの成長予測は急激なポンド安による短期的プラス効果と見ることもできるが、私は政治的に長期的プラスの可能性も見ておきたいと思う。イギリス政府(与党側)は国民投票に際してBrexitに強烈なネガティブキャンペーンを展開していた。増税になる、社会保障が不十分になる、失業率が上がる、などなど。

●自分で選んだ道だから強い
そしてどうなったか。欧州はおろか世界経済の「秩序を乱す」という世界各国からの批判も、自らの「生活に不利」という英国政府の警鐘も、なにもかも振り切って英国国民は離脱を選んだ。今後様々な分析がなされると思うが、私は端的には「それでも自立を選ぶ」という英国国民の覚悟が不安に勝ったのだと感じる。自分たちで選んだ道だから、国民自らが我慢と努力をするだろう。英国には英語圏という味方もある。短期的な株価や通貨安を飲み込んで足腰の強い経済に向かっていく可能性も否定できないと思う。

●京都三条ラジオカフェ
ラジオ番組で上記の内容をお話ししました。ご視聴下さい。

2016年10月8日放送分 『EU離脱で英国絶好調の理由』

ホームグロウン・テロリストと若者について

2016年8月27日 19:34

公安調査庁.jpg

公安調査庁のホームページを転載

●若者の犯罪のニュース
若者の犯罪について多くのニュースを見る。
近年になってそうした若年層の犯罪発生が多くなったのか、昔も同様に犯罪は発生していたけれども関連する報道が少なかっただけなのかは定かではない。

●心と身体のエネルギー
いずれにしても心と身体の振れ幅が大きい若年層が極端な行動に走り、それが犯罪に結びつくことがあるのだと思う。そもそも人は社会経験を積み重ねながら感情を暴発させない心理的で社会的な技術を徐々に身につけるのだから、それが十分でない若い間の心と身体のエネルギーが暴発するリスクは常につきまとうだろう。

●ホームグロウン・テロリスト
そうした傾向が特に欧米先進国では若者によるテロ行為につながっているかもしれない。欧米の若者が過激な思想を有する組織や集団の主張に感化されてテロ行為を起こすとされているケースだ。これに関連して『ホームグロウン・テロリスト』という言葉がある。公安調査庁のホームページには次の様にある。

ホームグロウン・テロリスト」の脅威
「ホームグロウン・テロリスト」とは,一般的には,欧米諸国に居住する者で,「アルカイダ」などの唱える主義主張に感化されて過激化し,居住国でテロを行う者を指す。「ホームグロウン・テロリスト」の過激化は,通常,居住国においてインターネットなどを通じて進行するとされる。


●若者が選んでいる可能性
先日この分野に詳しい方のお話を聞いたところ次の様に語っておられた。
「テロ組織が若者を選択しているのではなく、若者がテロ組織を選択している可能性もある」
つまり若者はいつの世も急進的なのであって、常にそのような刺激を外部に求めており、たまたまそこにアルカイダが主張するような「個人的ジハード」の教唆を見つければ、それに乗ってしまうこともありえる、という主旨だ。考えてみれば60,70年代の学生運動も、現在も頻発する学校のいじめも、若者が持つ心と身体のエネルギーが起こす現象という部分もあるかもしれない。

●ネット時代の規制
 映画が上映される直前にPG15やPG18などの表示を見ることがある。15歳以下は観てはダメ、18歳以下は観てはダメという指定である。報道や表現芸術の域を超える極めて過激な内容について、このような社会的配慮は重要であろうし、もちろん表現の自由も重要であるから、「規制の在り方」については今後も大いに検討していく必要がある。しかし一方で「規制できるのか」という問題もある。ホームグロウン・テロリストは映画で情報に触れているのではない。インターネットでジハードの情報に触れている。こうしたネット経由の情報を完全に規制することは不可能だという点を無視することができなくなっている。

起こった後のフェール・セーフを
 今後は若者による過激な行動が起こり、それがテロを含む犯罪的な行為につながった場合に、その事後のリスクとどう向き合うかについての社会的な技術を磨いていかなければならないと思う。そのような事態が起きないような対策は引き続き重要であるが、ネット社会の情報環境においては絶対に起きないようにすることがそもそも不可能であろうから、「起こらない対策」と同等かそれ以上に「起こった後の対策」に力を入れる時代に入りつつあるのではないか。そうなると、たとえばノルマライゼーションが主張する「私たちがお互いを区別することなく社会生活を共に営んでいく姿勢」のように、たとえば若者の過激な行動等に対して社会的な更生を促すような制度や施設のあり方を再考する時が来ているのかもしれない。皆さんお気づきのとおり、これは実に難しい問題だ。解決方法が見えない。つい理想論やキレイごとで片づけたくなるだろう。しかし欧米先進国における昨今のホームグロウン・テロリストと若者のニュースを見るにつけ、そんな悠長な状況でもないと感じるのだ。

●京都三条ラジオカフェの番組
 以上のようなことをラジオ番組でお話ししました。ご視聴ください。

平智之の報道ウォッチ【FM79.7MHz京都三条ラジオカフェ】
2016年8月27日放送分「ホームグロウン・テロリストと若者について」

格差拡大ではなく貧困層拡大の時代

2016年7月24日 21:11

2000年以降のジニ係数.jpg

「平成23年 所得再分配調査結果」、厚生労働省、平成25年 10月 11日より平が作成


●収入格差は横ばい
 社会全体で見ると2000年以降の日本の格差は、ほぼ横ばい、または格差是正の方向となっている。(上図参照)資産格差も拡大と言える状況ではない。つまり、いまのところ日本は所得・資産ともに「格差が拡大していく社会」ではないようだ。そもそも歴史的に好景気が続く時は格差が拡大し、不景気が続く時は格差が縮小するのが通例で、日本でもバブル期の80年代には格差がゆるやかに拡大し、失われた20年に含まれる2000年以降で格差は拡大してこなかった。すると「格差が拡大したじゃないか。どうしてくれるのだ。」という言い方は「景気がよくなったじゃないか。どうしてくれるのだ。」という理屈と同じになる可能性に注意を要する。言い方を変えると「格差を是正せよ。」という理屈は「景気の拡大を抑えろ。」という理屈になりかねない。日本の場合は格差ではなく別の視点が必要ではないか。

●貧困層が拡大している
 それこそが貧困率の問題だ。低所得層および貧困層の拡大という視点だ。日本は全体として格差拡大社会とは言えないが、その内部で貧困層が拡大する社会である。格差が拡大していないのに低所得層が拡大している。どういうことか。たとえば貧困層から富裕層までの階段があるとすると、その「所得の階段」が沼にズブズブと沈み込むように落下しているようなイメージだろう。沼に沈み込んだ部分(つまり低所得基準未満になった人)がどんどん増えているという状況である。

●貧困対策をどうするのか
 いま求められる経済対策のポイントは、消費拡大や産業分野の景気刺激策も重要だが、同時に早急な救貧と念入りな防貧だろう。とりわけ三つの深刻な貧困率がデータでも浮かび上がっている。
・子供の貧困率
・母子家庭の貧困率
・高齢者(特に女性の単身世帯)の貧困率
こうした低所得層及び貧困層への対策をどうするのか。これは重要な経済政策であるが非常に難しい。単純な問題ではない。富裕層から貧困層に富を移転したらいいのだ、借金が増えてもいいから貧困層に現金・現物給付したらいいのだ、というような単純な問題ではない。

●富の移転が賛同されにくい
 私は日本のように「世界の中くらいの格差レベル」で、なおかつ「格差が拡大しているわけではない社会」における貧困対策は非常に難しいだろうと思っている。米英のように格差が大きな社会ならば、トマ・ピケティが提唱する累進富裕税のように思い切って富裕層の富を貧困層に移転できるかもしれない。低所得層と貧困層が多数派だからだ。しかし日本は米英よりも緩やかな格差社会だ。格差是正の政策に不満を感じる層も多数いることになる。賛同が得られにくい。このような日本社会で貧困対策をどのように創るのか。発明の覚悟が必要だ。タブーを乗り越える経済政策が必要だと思う。

●京都三条ラジオカフェの番組
 以上のようなことをラジオ番組でお話ししました。
ご視聴ください。

平智之の報道ウォッチ【FM79.7MHz京都三条ラジオカフェ】
2016年7月23日放送分「格差拡大ではなく貧困層拡大の時代」

候補者は経済政策をもがいて考え出しているか

2016年6月26日 20:18

NHK世論調査.jpg

今回の参院選で有権者が重視する政策 (NHK調べ、6月17日から3日間の電話調査)

●今回の参院選で有権者に考えて欲しいこと
 今回の参院選で有権者に考えて欲しいことをラジオで語った。ご視聴ください。

平智之の報道ウォッチ【FM79.7MHz京都三条ラジオカフェ】
2016年6月25日放送分『新しい経済政策が必要』


●今回も有権者の関心は「経済」
 選挙が始まると、その時の有権者の関心が調査されるが、今回も「社会保障」「経済政策」という暮らしへの関心が上位を占める。社会保障の財源は経済政策に依存する。すると候補者の経済政策をしっかり見る必要があるが、これが難しい。憲法やTPPのようにYESとNOだけで明確に判断できない。経済政策について候補者の何を見たらいいだろうか。

●新しい経済政策をもがいて考えているか
 欧州の移民問題、米国大統領選、英国EU離脱などはすべて経済問題に直結している。世界がグローバル化と地域化でせめぎ合う複雑で不透明な状況。そもそも確たる経済政策は見出しにくい。しかしだからといって政治家が「難しいので」では済まない。そこで私は候補者自身が「新しい経済政策」をもがいて考えているか?提案しようとしているか?を見たいと思う。憲法や消費税やTPPなどのYESとNOの争点だけではく、難しくても自分の経済政策をわかりやすく有権者に伝えようとしているか。

●これまでの経済政策の限界
 直感だが、ここ10年、15年だけで見ても従来型の経済政策には限界が来ている。銀行経由でお金を撒く金融緩和政策も、政府経由で仕事を出す財政政策も、いずれも期待する効果が出ない。構造改革・規制緩和も地域への利益誘導も、どうも特定企業のメリットばかりでうまくいかない。どの政党でもどの政権でもそうだった。

●政党ではなく候補者個人の資質
 繰り返すが、もはや従来型の金融政策、財政政策、構造改革、規制緩和などの政策やその組み合わせだけで暮らしや経済の安心を生み出すのは難しいだろう。官僚も政治家も研究者も、これまでになかった「新しい経済政策」を発想し、実行していくという構想力と大胆さが必要な時代に、そのような発想や着想をもがいて考え出しているか?提案しようとしているか?そうした点を選挙区の候補者に見たいと思う。もとよりそれは政党による選択ではない。候補者個人の資質のチェックになる。

英国のEU離脱と日本の外交

2016年6月24日 22:25

離脱か残留か.jpg

国民投票後に離脱票と残留票の仕分けをする職員(REUTERS/NEIL HALL)


●一年前に英国EU離脱のラジオ番組
ほぼ一年前の2015年7月11日に英国離脱について自分のラジオ番組で私見を述べた。
ご視聴いただきたい。

平智之の報道ウォッチ【第2回】
『ギリシャの国民投票に見る外交の技術』


●離脱のマトリョーシカ人形
番組の内容(概要)は以下のとおり。
・ギリシャEU緊縮財政の国民投票の内側に英国EU離脱の国民投票がある
・英国EU離脱の国民投票の内側にスコットランド独立の国民投票がある
・いわば離脱・独立のマトリョーシカ人形のような複雑な構造がある
・そもそも外交とはそういうものではないか
・日本人からすれば非常に複雑だが欧州ではごく普通のこと
・しばしば日本人は日中韓の関係を単純に見過ぎのように思う
・アジア和平のためにも複雑な外交こそが日本に必要になる

●欧州のEU離脱と地域独立を志向する動き
先ほど英国離脱が決まるやいなやスコットランド自治政府のNicola Sturgeon首相が英国からの独立を宣言し、さらにEU加盟を示唆したとの報道。アイルランド王国も北アイルランドとの南北統一を目指し、EU加盟を目指すかもしれない。このあと、フランスのマリーヌ・ル・ペン氏率いる国民戦線、ドイツのAfD、あるいは新ローマ市長のビルジニア・ラッジ氏も関与するイタリアの五つ星運動など、EU離脱と地域的な独立を志向する動きがさらに強さを増すだろう。

●現実と理想を両にらみで
これからの日本の外交は、一極に頼ることなく、複雑な多極化(現実主義)が望ましい。しかし多極だからこそ日本の立場と利害を明確(理想主義)にする必要があるはずだ。町内会だって会社だって国だって同じだろう。現実と理想を両にらみするのではないか。


お釈迦さんの「伝えられない」

2016年4月24日 16:19

弘法さん20160421.jpg

平成28年4月21日 大宮東寺道の門前にて

●春雨の弘法さん
本日も弘法さん(2016年4月21日)の日、大宮東寺道の門前に立たせてもらいました。
春の日差しと思いきや春雨。しかし心地良い空気でした。
次のようなお話をさせてもらいました。

●もともと心のなかにある
高校時代の宗教の時間、とても気になることを教わりました。「仏の教え(真理の境地)は、どこか遠くにあるのではなく、最初から君たちの心の中にある」そのことを弘法大師は次の様に表現されたそうです。
『仏法遥かにあらず、心中にして即ち近し』
お葬式でお棺の仏さんが生前には見られなかったほど優しいお顔をされるのを、みなさんもご存じだと思います。意地も恨みも怒りもなくなって、額や目元や口元から緊張がなくなると、もともとのお顔に戻る。仏さんは最初から心中におられたのかなと、ふと感じますね。

●伝えられない、いや伝えて欲しい
また次のことも、とても気になることでした。「お釈迦さまが真理に気付いたとき、こんな微妙なことを人々に"伝えられない"と言われた」と。40年前の高校生当時の私にとって、これは非常に気になりまして、いまでもその時の先生の表情をはっきりと覚えております。それでは、なぜお釈迦さまは布教されたのか。「神が降りてきて、どうか広く伝えて欲しいと何度も頼まれた。それでお釈迦さまは布教の旅を始められた」と。神とは梵天や帝釈天だそうで、この経緯を「梵天勧請」というのだそうです。つまり「伝えるか」「伝えないか」について非常に悩まれたのではないでしょうか。

●世界の宗教のこれから
このようにして始まり、拡がり、根付いてきた仏教がいま日本で危機的な状況にあるとの研究があります。在来仏教では檀家数の減少と住職不在で廃寺が急速に進行しており、また新宗教でもごく一部を除いてその会員数が急減しているとの分析もあります。フランスでは政教分離政策の帰結として、またドイツでも宗教税などの影響でキリスト教徒が減少傾向なのだそうです。また米国も全体としてはキリスト教徒が多数派ですが、白人だけを見ると無宗教や無神論が伸びていると。

(参考情報)
・日本国内7万箇寺のうち今後10年程度で2万箇寺が廃寺のリスクとの分析あり
・フランスでは毎日曜教会へ行くカトリック信者の割合が27%(1952年)から4.5%(2010年)にまで減少との調査あり
・ドイツはドイツ国教会の維持費を税(所得の8~10%程度)で保障
・カリフォルニア州では白人キリスト教徒の割合が25%で少数派とのデータあり


●国王が英国国教会の首長
英国でも国民の7割がキリスト教で、うち6割が国教会だということですが、国教会の教会が少しずつ廃止になりつつある、とのニュースもあります。英国は国王たるエリザベス2世が英国国教会の首長を兼ねていますから、そのような事態は好ましくないとお考えでしょう。そのエリザベス2世の90歳のお誕生日が、今日の弘法さんと同じ4月21日(1926年4月21日)であります。世界の英国連邦の国々でお祝いされていると思いますが、国教会の将来についても、いろいろお考えなのではないでしょうか。

(参考ニュース)
英国⇒国教会では毎年約20カ所程度の教会閉鎖
ドイツ⇒カトリック教会が過去10年間で500教会を閉鎖
オランダ⇒カトリック教会(現在1,600)の3分の2が10年以内に閉鎖予測
フランス⇒カトリック教会が廃止でイスラム寺院に転売された事例、など

●福音派とムスリムの拡大
これからの宗教はどうなっていくのでしょうか。中国では貧しい内陸部から仕事を求めて沿岸部に大量の人々が移動し、そうして都市部に移住した人々の寂しい心の隙間を埋めるようにキリスト教の福音派が拡大しているそうです。一億人規模とも言われます。(『宗教消滅 資本主義は宗教と消滅する』、島田裕巳著、SB新書を参照 )最近、習近平国家主席が「仏教は中国の文化だ」と発言したのは、この福音派の急拡大への配慮も関係していると言われています。ブラジルでも福音派が急拡大しているそうです。またご案内のとおり、大量の移民に揺れる欧州ではイスラム教を信じる人々が拡大しています。

●これからの宗教
縮小するところ、拡大するところ、世界で相半ば。でもよく考えると、この拡大とか縮小とは、何々教とか教団の信者数という形式や数字のお話しですよね。そこでもう一度思い出します。お釈迦さまが「伝えられない」と思われた点です。金銭欲や名誉欲や差別感などにまみれない穏やかな気持ちは、本来私たちが心中にもっていて、だから自分の内面で気付けばいいことだと。もしかするとお釈迦さまは、教団とか形式とか所作などが、そもそも人々の気づきのお手伝いをすべきところ、その維持や拡大を目的としてしまうことに最初から気づいておられたからこそ「伝えられない」と言われたかもしれないと勝手に感じます。もともとご自身が王子でしたから、国家管理の"形式の力"の副作用に敏感だったかもしれません。

●宗教と信仰の並存
組織力や信者数という形式を「宗教」と呼び、個々人の信じる力(あるいは理想の力)を「信仰」と呼ぶとすれば、これから宗教と信仰が並存するかたちで世界の人々に浸透していくのではないか。そこから政治や経済にさまざまは現象がもたらされるかもしれないと、今日はそのようなお話をさせていただきました。また来月参ります。ありがとうございました。

●平智之の報道ウォッチ(ラジオ番組)
2016年4月21日、弘法さんの街頭でお話しした内容の一部をラジオ番組で語りました。
平智之の報道ウォッチ【FM79.7MHz京都三条ラジオカフェ】
2016年4月23日放送分『英国国教会首長の誕生日』
スペインのイスラム化などについても語りました。すこし複雑な内容になりました。

パナマ文書で始まる金融の闘い

2016年4月12日 22:58

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IMFのWEO(World Economic Outlook)、2016年4月16日最新版

●英国にEU残留を求める警告か?
6月に予定されているEU離脱の国民投票を織り込んで、IMFが2016/4/16付の最新のWEO(World Economic Outlook)で英国の成長予測を2.2から1.9に引き下げた。この予測そのものが英国経済にネガティブだ。実質上、英国にEU残留を求める警告に等しい。

●パナマ文書と英国
かねてから知られていた「タックスヘイブン(租税回避)の世界的なネットワークの中枢が英国だ」との解釈を再認識させるパナマ文書のリークにも同じ意図があるだろうか。英国経済への打撃につながる情報公表が続く

●英国独自の経済外交
中国経済の不安定、IS等のテロ、欧州への難民流入等に代表される世界経済の不安定要素に英国のEU離脱が加えられた格好だ。AIIBをはじめとする英中蜜月外交等、英国の独自の経済路線に水を差す可能性も感じる。

●金融資本市場の闘いへ(ラジオ番組)
パナマ文書のリークにみる今後の金融資本市場の闘いについて語った。
平智之の報道ウォッチ【FM79.7MHz京都三条ラジオカフェ】
2016年4月9日放送分『パナマ文書で始まる金融の闘い』

講演録 『ベーシックインカム実現の政治的な課題』

2016年4月 3日 16:58

ニュージーランド労働党2.jpg

ニュージーランド労働党「TEN BIG IDEAS FROM OUR CONSULTATION」
SNAPSHOT OF WORK TO DATE MARCH 2016より抜粋


●ベーシックインカムが政権公約に
『ニュージーランド野党第一党のニュージーランド労働党が次の総選挙でベーシックインカム導入を政権公約として掲げるかどうかについて党内検討に着手』との報道
スイス、オランダ、フィンランド、カナダと立て続けにベーシックインカムのニュースが飛び込む。すべて日本よりも一人当たりGDP(名目)が高い国で。いまベーシックインカムをめぐって世界で何が起こっているのか。私はBI推進派であるが、しばしば「BI導入は失業給付や生活保護などの社会保障財源をカットする方法だ」として警戒する意見をいただく。しかし、いま欧州等で起こっているBI議論にはすこし別の視点がある。移民政策の変化だ。その点を、昨年末開催した私自身のベーシックインカム講演会の内容(一部、内容を加筆修正)でご紹介する。フィンランド、ナミビア、インド、ブラジル、米国アラスカ州、カナダ等の事例から。


講演録『ベーシックインカム実現の政治的な課題』


注:本稿は2015年12月26日開催の筆者講演会「フィンランドのベーシックインカム研究開始とは」の講演録を抜粋編集したものです。随所で修正加筆しています。

●ベーシックインカムへの期待感
つい先日フィンランドでベーシックインカムが今にも始まるという情報がネット上で話題になりました。しかし、事実はフィンランドの社会保険庁にあたるKELAがベーシックインカム導入の可能性を確認するために社会実験の方法を検討するということでした。それでもベーシックインカムの今後について重要な情報であることは間違いありません。さて、本日お集まりの方々はすでにベーシックインカムの定義や考え方についての知識をお持ちの方も多いと思いますので、ここではフィンランドを含む世界のベーシックインカムの動きについて、特に政治的な観点から意見を述べたいと思います。

●世界のベーシックインカム~救貧から富裕層まで~
いまのところ定義通りのベーシックインカムが実施されている国はないと思います。しかし、ベーシックインカム"的"な制度ということであれば、すでに複数の国で施行、実験、検討されてきました。古くは70年代にカナダのマニトバ州のドーフィンという町で4~5年間に渡って実験が行われています。ミンカム(Mincome)実験と呼ばれ、ネット上でも調査結果の概要を読むことができます。またブラジルでは通称市民ベーシックインカム法が施行されています。アラスカ州では天然資源から得られる政府収入分を運用して全州民に年に一回2~3万円程度の現金給付をしています。今後としては、スイスでベーシックインカム導入の是非を問う国民投票が行われる予定(2016年6月)ですし、オランダのユトレヒトも導入実験を計画しているようです。政府レベルではなく非営利団体の実験としては南アフリカの北西に位置するナミビア及びインドの貧村を対象に現金給付の実験が行われました。面白いところではシリコンバレーでビットコインを活用するベーシックインカム的な議論があるようです。以上のようにベーシックインカムの部分施行や実験や検討が、後進国の防貧と救貧を目的とするものから、先進国の富裕層も含めるものまで、実に多様な拡がりを見せています。それでは、フィンランドとカナダとブラジルのベーシックインカムを政治的な視点で考えてみたいと思います。

●フィンランドで台頭する政党"基本のフィンランド人"
今回話題となったフィンランドのケースから見ていきたいと思います。フィンランドはとても粘り強い国です。1800年頃は西のスウェーデンに支配され、それ以降はロシア革命が起こるまで東のロシアに支配されました。つまりフィンランドは東西から侵略されてきた国なので、私はどっちかっていうとバルカン国家に近いんじゃないかなという気がするんですけどね。どっちかに一方的に付くことは絶対にしない。外交として非常に忍耐強い国だなあというふうに思うんですが、どうでしょうか。そのような国がなぜいま急進的な政策であるベーシックインカムを検討しはじめるのか。すこしフィンランドの政治状況を見ます。2015年の総選挙で大きな政権交代がありました。高福祉政策の社会民主党(中道左派)が第四党に転落し、中央党(中道リベラル)と国民連合党(中道右派)と、そして最近台頭してきた真のフィンランド人という政党の三党が連立政権を担うことになりました。ここでちょっと気になるのですが真のフィンランド人という政党名はフィンランド語でPerussuomalaisetでして、調べてみると接頭語のPerusは「基本の」という意味のようです。すると「真の」というのはいかにも民族主義的でわざとらしい感じがしますね。英語でtrue finnishと訳されたために「真の」と日本語で訳されたわけですが、これは米国などの英語圏がPerussuomalaisetを民族主義的な政党だと解釈したいから、そのように意訳したかもしれません。「基本のフィンランド人」だとすれば結構穏健な感じでしょう。このあとは基本のフィンランド人と称します。さて、この基本のフィンランド人の党首ティモ・ソイニ党首が2015年の政権交代で外務大臣に就任したんです。ここが重要だろうと思います。ソイニ党首が主張していることは福祉国家を堅持して富の再分配をする、そして反EUで反NATOです。EUは「資本家の企てだ」と厳しく批判しているんですね。主としてドイツを指しているのではないでしょうか。これはもう、ほぼEUからの独立宣言です。さらに重要な公約があります。「もうこれ以上移民はいらない」という公約です。これが基本のフィンランド人です。ですから私は今回のフィンランドのベーシックインカムのニュースにはソイニ党首の意向がある程度反映されているんじゃないかと感じるのです。

●移民問題とベーシックインカム
KELAの発表には「ベーシックインカムで社会保障の諸制度をスクラップする選択肢も検討する(Scrap social benefits)」とありましたが、ソイニ党首はリバタリアンではまったくなく、むしろ伝統的な福祉国家論者のようですね。この点が政治的に重要です。みなさんご案内のとおり、いまEU各国は移民問題に揺れていますけれども、その争点のひとつが各国の持つ社会保障制度の移民への適用問題です。北欧はもちろんイギリスだってフランスだってそうです。(注:だからこそイギリスは2016年6月予定の「EU離脱の国民投票」に先立って、移民への福祉制度の4年間の猶予措置をEUから勝ち取っている) 社会民主主義の伝統を持つEU各国が社会保障政策を捨てることはできないが、だからといって流入する移民に国民の富を分配することもよしとしない。できれば富の再分配先を国民だけに限りたいという意識が生まれて、そこにベーシックインカムという新しい制度への期待感が生じているという見方はできないでしょうか。ともすれば左派的な政策と思われがちなベーシックインカムですが、現実にはあたかも民族右派的にみえる主張(しかし実際には穏健な伝統主義)とベーシックインカムに親和性が出てくるという可能性です。そのような政局がフィンランドで起こっているのかもしれません。ちなみにフィンランド政府は2015年9月にベーシックインカムと負の所得税について国民に意識調査をしています。実はその13年前の2002年にも同じ調査をしており、いずれの調査でもこうした現金給付の制度に過半の支持が得られてきたようです。つまり今回いきなりベーシックインカムを言い出したのではなく、すくなくともこの10年にわたり福祉国家のフィンランドでベーシックインカムは社会保障制度の代替案または補完策として考えられてきたのだということです。

●カナダの実験でフルタイムワーカーは減らなかった
カナダのドーフィンで行われたMincom実験については、先ほどもお話ししたおとり70年代に4~5年間実験して、いろんな知見を得たようです。しかし財政難で実験が中断して、そのまま調査分析もしないで段ボールに埋まっていたところを、最近マニトバ大学の研究者が掘り起こして論文にしたのがこの資料です。ベーシックインカムについては「実験でなにがわかるのか」という意見がよくあります。「時限で、有期でやるとわかっていたらベーシックインカムの効果はわからないのではないか」という質問です。最初から2年と決まっていたら2年のつもりで貯金したり、5年だったら5年の使い方をするだろうと。でも私はそれはそうでもないと思います。というのはベーシックインカムは非常に巨額の財源を要するので、毎年の金額の変更が法律に規定される可能性があると思うからです。むしろ最初から毎年の予算制約で変額制にしておく方が現実的かもしれません。日本の年金だってすでに財政難からマクロ経済スライドで毎年減額できるルールが定められています。むしろ5年定額というのは実験としては長期ですし、ある程度信頼できる価値ある情報だろうと思います。「ミンカムMincome」で調べるとネットに出ていますから、ご関心のある方ぜひ見ていただきたいと思います。報告書をまとめた方は医療経済学の専門家のようですから医療費についてより詳しいようですが、結果として医療費の削減がはっきりとした有意差をもってみられた、と報告しています。具体的には交通事故とか仕事場の怪我が減った、ドメスティックバイオレンスや心の病が減少したということが報告されているようです。それからベーシックインカムにはいつも「仕事をやめるんじゃないか」という議論があるわけですが、Mincome実験の結果ではフルタイムはみんな続けていたと。著しくワークタイムが減ったのは、小さい赤ちゃんを抱えているお母さんと、そして大学生である。なぜなら賃労働をするよりも優先することがあるからです。むしろ賃労働の時間を減らして本来の育児や勉強に専念できたということでしょう。そうした人以外はフルタイムをやめなかったという傾向が報告されています。

●カナダ社会信用党の「二度と信用しなくなる」失敗
ところでカナダが最近国勢調査でベーシックインカムの賛成・反対を聞いていました。2013年の調査ですがベーシックインカムに賛成する人が反対する人を上回っているんですね。すごいですね。日本で今もし国勢調査したらどうなるでしょうか。賛成しますか反対しますかで、ちょっと挙手してみて下さい。(挙手は賛成と反対で半々)私はですね、まず年金受給者層が反対すると思うんです。ベーシックインカムに財源を取られるから年金が減らされると考えるだろうからです。年金を減らさない制度設計は当然可能なのですが、この点の先入観はきついでしょう。1号2号3号合わせて受給者は4000万人に向かっており、少子高齢化が進む日本のようなシルバーデモクラシーの社会ではベーシックインカムの国民投票はなかなか厳しいでしょうね。推進派の私たちはここをなんとかしなければなりません。しかしカナダは賛成が上回っているんですよね。すごいことだと思います。ちなみに興味深い点としては、独立を考えるケベック州が最も賛成が多い(55%)という点が挙げられます。独立志向とベーシックインカムの親和性が先ほどの基本のフィンランド人と似ているかもしれません。もうひとつ、ベーシックインカムの実現を公約にして州政権(1935年から1971年)を担ってきた社会信用党の本拠地であるアルバータ州で賛成が最も低い(35%)という点です。理由はおそらく単純です。1935年当時、社会信用党はそれまでの与党であった農民党を壊滅させて地滑り大勝利の政権交代を勝ち取ったのですが、その時の目玉公約が「国民配当の実現」だったんですね。ベーシックインカムです。ところが政権に就くなり「実現は難しい」と言ってしまったのです。財源の精査や制度設計をきちんとしていなかったのでしょう。それでよく、その後数十年にわたり政権を続けられたものだと思いますが、それだけ州民が「いつかはやってくれる」という高い期待を寄せていたのかもしれません。しかし、ついに実現しないまま社会信用党も雲散霧消したようです。これではアルバータ州民は反対になりますよね。(親の世代が裏切られたことを次世代の有権者が覚えている、など) ですから社会信用党の失敗はベーシックインカムの実現にとって非常に重要な政治的教訓だと思います。ベーシックインカム実現の公約は、ひとたび有権者に理解されれば政権交代を起こすほどのインパクトを持つ可能性があるから政治的に実に魅力的なのだけれども、しかし実現に失敗すると社会全体がベーシックインカムを二度と信用しなくなるという逆バネのリスクもあるという点です。

●ブラジルのベーシックインカムの政治性
最後にブラジルについてすこしお話しします。現在はボウサ・ファミリアという制度が施行されています。内容は所得制限付きの児童手当のようなものです。しかし、そもそもベーシックインカムとは所得制限をかけないで全国民に個人単位で現金給付するしくみですから、所得制限ありで子供だけの給付をベーシックインカムとするのは難しいです。ですので一般には市民ベーシックインカム法の第一段階というふうに解釈されていると思います。内容ですが貧困家庭の子供一人当たり数千円単位で配られていくわけですけれども、15歳までのお子さんがいる家族にこのカードが渡されて、そのかわり就学と予防接種は義務ですよということで、2012年頃の統計で延べ1,100万世帯、4,600万人の子どもが受益者になったようです。また受給責任者の9割は女性ということです。ここで私の感想を申し上げると、これは政治だということです。2003年にLula氏(貧困層の出身で労働運動のリーダー)が大統領になってから、このベーシックインカム制度を施行して高い支持率を維持したようです。2期務めて大統領を辞する時でも支持率は87%ということですから圧倒的な人気のまま後進に譲ったようです。当然のことながら低所得層の、しかも受給責任者のお母さん達がLula政権を熱心に支えたものと思います。しかし続く政権では高い支持率が維持できていないというデータも見ました。勝手な推測ですが、さらなる金額アップと格差是正の成果が求められることになったのではないでしょうか。この点はさきほどのカナダの社会信用党と同様にベーシックインカムに関する政治的な教訓です。ベーシックインカムは実現に失敗すると二度と信用されなくなるリスクがあるわけですが、うまく実現したらしたで今度はさらなる制度の充実が期待されて、その期待に添えないと逆に不評を買ってしまうというリスクがあるわけです。政治的に考えますと、いったんベーシックインカムを国家政策として導入すると、「ベーシックインカムを廃止します」という政党が勝利することは極めて困難でしょう。(国家財政政破でIMFなどにベーシックインカム制度を廃止してもらわない限り) ですから国民の関心は「もっともっと」という方向へ動くと思うのです。より給付額を上げてくれるのはどちらの政党か?というようなことが選挙の争点になりかねない。大変な期待感が慢性的な不満感につながりかねないという意味で"もろ刃の政策"かもしれません。だからこそベーシックインカムの導入に先立って、かなり周到に財源や制度を考えておかなくてはなりません。たとえ財源問題がクリアーできても、その継続の方法がもっと難しい問題だと覚悟しておいたほうがよいと思います。こうした議論が日本で起こることを期待して本日のお話を終わらせていただきます。ありがとうございました。

日中韓の光

2016年1月21日 22:31

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本日も弘法さんで街頭に立たせてもらいました。
初弘法でたくさんのお参りでした。

●"くらい"(暗い、冥い)ということ
弘法大師はある書物のなかで次のような内容のことを書かれました。
『何度生まれ変わっても始まりは"くらい"(暗い)し、何度死んでも終わりは"くらい"(冥い)』と。何度輪廻を繰り返しても学ばない私たちのことでしょうか。いったいどういう意味でしょうか。

●知恵(智慧)という光があれば
難しいですよね。いろんな解説があるのですが、そのなかに私にもわかるお話があったのでご紹介したいと思います。『暗闇は光(智慧)をあてると一瞬で消えるのだから実は暗闇などない。実際には暗闇など「ない」のに「ある」とあなたが思うのは迷いや無知だ』


●知恵(智慧)という光
"くらい"というのは私たちがそう思っているだけだと。なるほどと思いました。暗闇があるとなぜかその中に恐ろしいものがいるんじゃないかと怖くなるのですが、実は暗闇など存在しないと知っていれば怖くなくなります。お釈迦さんは「無知だから人は暗闇からいろんな欲をつくり出す」と教えられたのでしょうか。知恵(智慧)という光があれば暗闇など消えさるから欲も出てこないと。

●日中韓のこと
この話はいまのアジア外交にも関係しているかもしれません。日中韓のあいだに暗闇があるとします。その暗闇には「中国も韓国も日本を嫌っているから領土を侵略したいと思っている」という「領土侵犯」という怖い生き物が潜んでいると誰かが言います。そして、それは中国から見ても韓国から見ても同じだとします。暗闇ですから「何かがいるかもしれない」といくらでも言えますよね。光を当てなければなんとでも言えます。

●ファッションや歌や自動車や
しかし実際にはどうでしょうか。中国や韓国の人々は個人的に日本を嫌っているでしょうか。むしろファッションや歌や自動車などで日本に好感を持っている人もたくさんいるのではないでしょうか。そして、それは私たちも同じでしょう。弘法さんをはじめ私たちは中国と韓国からいろんなものを貰ってきたのでしょうね。日中韓がお互いにそうならば警戒心は過剰かもしれません。まさに暗闇と無知の仕業かもしれません。だとすると日中韓に知恵という光があれば暗闇は一瞬で消えます。

●今こそ弘法さんの言葉を
ギリシャ経済危機とEU、ISとシリア、集団的自衛権と米国リバランス政策など、昨今の世界の流れを見るにつけ、今こそ弘法さんの言葉を噛みしめたいと思います。そんな思いで本日この場所に立たせていただきました。有難うございました。

社会に献身する力

2015年12月22日 00:02

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雨のなかお参り有難うございます。
本日(2015年12月21日)もまた弘法さんでお話をさせていただきます。

●弘法大師の技術力
今日は弘法大師が非常に優秀な技術者であったという点に注目したいと思います。「社会に献身せよ」という教えがありますが、いくら社会に献身したいと思っても、それだけでは想いのままです。しかし弘法大師は社会に献身するための高い技術力を持っていたというお話をさせていただきます。

●満濃池の工期短縮
よく聞く逸話に、弘法さんが杖を突いたらそこから水が溢れてきて、それが満濃池になったのだというものがあります。もちろん現実はそうではありません。決壊した満濃池の堤防の改修工事が非常に難工事で、工期が遅れに遅れていたところ、ピンチヒッターで派遣された弘法大師が大幅に工期を短縮したということだそうです。

●ごり押しする力
この際、工期短縮するには設計変更が必要だったはずです。つまり、先に派遣されていた技術系官僚の工法などを変更しているはずなのです。難工事でこのような設計変更をするには高い技術力と現場仕込みの喧嘩腰も必要でしょう。元の設計者を説得することになりますから現場にものすごい軋轢が生まれるからです。でも弘法大師はごり押しして、それをやり遂げたのだろうと思います。それくらい有無を言わせぬ技術力があっただろうし、結果に責任を取る覚悟もあったでしょう。もう一度決壊したら終わりですから。

中退して荒行しながら科学を修める
平安時代最初の遣唐使船で中国に渡り、多くの経典と教えを持ち帰られた弘法大師は、同時に大変な技術者でもあったということになります。しかし、いったいどこでそんな能力を。もちろん唐での見聞もあったでしょうが、私はそれよりも青年として仏教の教えに目覚めてエリート養成学校を中退した後にその秘密があると思います。若いころに学校を中退して山に籠った謎の数年間があるという説です。この説によれば、弘法大師は山中で荒行をしながら中国語と鉱物学を学んでいます。中国語は今でいえば英語であり、鉱物学は今でいえば地球科学です。ものすごく体力を消耗する山中の荒行の最中に最先端の言葉と科学を習得する20代の弘法大師の努力は計り知れません。(まるでオリンピック選手の鍛錬をしながら最先端科学を修めるようなものではないか)そんな弘法大師だからこそ平安時代初期の多くの難問を解決されたのだろうと推察します。

●社会に献身する力とは
私たちには今どんな力が必要なのでしょうか。「賛成のための賛成」「反対のための反対」では言葉ばかりが踊って問題は蚊帳の外。反対すればいいというものではない。弘法大師がなぜ数々の難問を解決できたのか。それはまず正面から難問と向き合ったからだろう。賛否などする前にとにかく解決に向かったからだろう。そしてその解決力を蓄えていたからだろう。そう思います。社会に献身する力について、もう一度はじめから自分を見つめなおさなければ。

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