平智之の活動ブログ

日中韓の光

2016年1月21日 22:31

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本日も弘法さんで街頭に立たせてもらいました。
初弘法でたくさんのお参りでした。

●"くらい"(暗い、冥い)ということ
弘法大師はある書物のなかで次のような内容のことを書かれました。
『何度生まれ変わっても始まりは"くらい"(暗い)し、何度死んでも終わりは"くらい"(冥い)』と。何度輪廻を繰り返しても学ばない私たちのことでしょうか。いったいどういう意味でしょうか。

●知恵(智慧)という光があれば
難しいですよね。いろんな解説があるのですが、そのなかに私にもわかるお話があったのでご紹介したいと思います。『暗闇は光(智慧)をあてると一瞬で消えるのだから実は暗闇などない。実際には暗闇など「ない」のに「ある」とあなたが思うのは迷いや無知だ』


●知恵(智慧)という光
"くらい"というのは私たちがそう思っているだけだと。なるほどと思いました。暗闇があるとなぜかその中に恐ろしいものがいるんじゃないかと怖くなるのですが、実は暗闇など存在しないと知っていれば怖くなくなります。お釈迦さんは「無知だから人は暗闇からいろんな欲をつくり出す」と教えられたのでしょうか。知恵(智慧)という光があれば暗闇など消えさるから欲も出てこないと。

●日中韓のこと
この話はいまのアジア外交にも関係しているかもしれません。日中韓のあいだに暗闇があるとします。その暗闇には「中国も韓国も日本を嫌っているから領土を侵略したいと思っている」という「領土侵犯」という怖い生き物が潜んでいると誰かが言います。そして、それは中国から見ても韓国から見ても同じだとします。暗闇ですから「何かがいるかもしれない」といくらでも言えますよね。光を当てなければなんとでも言えます。

●ファッションや歌や自動車や
しかし実際にはどうでしょうか。中国や韓国の人々は個人的に日本を嫌っているでしょうか。むしろファッションや歌や自動車などで日本に好感を持っている人もたくさんいるのではないでしょうか。そして、それは私たちも同じでしょう。弘法さんをはじめ私たちは中国と韓国からいろんなものを貰ってきたのでしょうね。日中韓がお互いにそうならば警戒心は過剰かもしれません。まさに暗闇と無知の仕業かもしれません。だとすると日中韓に知恵という光があれば暗闇は一瞬で消えます。

●今こそ弘法さんの言葉を
ギリシャ経済危機とEU、ISとシリア、集団的自衛権と米国リバランス政策など、昨今の世界の流れを見るにつけ、今こそ弘法さんの言葉を噛みしめたいと思います。そんな思いで本日この場所に立たせていただきました。有難うございました。

メタンハイドレートで日本は資源大国になれるか

2016年1月 9日 21:28


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メタンハードレート資源開発研究コンソーシアムのパンフレット(P1)より


「メタンハイドレートで日本は資源大国になれるか」についてお話ししました。
平智之の報道ウォッチ 2016年1月9日放送分をご覧ください。

●実験開始
経産省がメタンハイドレートの抽出実験を今春以降に始めるとの報道。2013年に一度行われて7日間連続で取り出すことに成功しています。世界初の成功でした。

●メタンハイドレートとは
メタンハイドレートはメタンガスと氷が海底などの低温高圧の場所で結合しているもので、利用可能となればエネルギー市場に大きな影響を与えます。

●日本の埋蔵量
メタンハードレートの埋蔵量は全世界で天然ガスの10倍あり、日本近海(南海トラフと北海道周辺)には日本の年間使用量の100年分があるという報告もあります。もし連続抽出の技術が完成すれば日本はたちどころに資源大国になります。

●外交の交渉カード
確かに現在のところコストが高いのですが、これは自国のエネルギーですから、いつでも取り出せるようにしておくこと、そしてそれを世界に示しておくことは重要かもしれません。現在は新興国の経済低迷で鎮静化していますが、いずれ世界景気が上昇局面になれば、本格的なエネルギー争奪に日本も巻き込まれます。その時に原油と天然ガスを高値でふっかけられて困らないように、「そんなに言うならメタンハートレートでいきますよ」という交渉カードにするくらいの戦略性で考えるのはどうでしょうか。

社会に献身する力

2015年12月22日 00:02

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雨のなかお参り有難うございます。
本日(2015年12月21日)もまた弘法さんでお話をさせていただきます。

●弘法大師の技術力
今日は弘法大師が非常に優秀な技術者であったという点に注目したいと思います。「社会に献身せよ」という教えがありますが、いくら社会に献身したいと思っても、それだけでは想いのままです。しかし弘法大師は社会に献身するための高い技術力を持っていたというお話をさせていただきます。

●満濃池の工期短縮
よく聞く逸話に、弘法さんが杖を突いたらそこから水が溢れてきて、それが満濃池になったのだというものがあります。もちろん現実はそうではありません。決壊した満濃池の堤防の改修工事が非常に難工事で、工期が遅れに遅れていたところ、ピンチヒッターで派遣された弘法大師が大幅に工期を短縮したということだそうです。

●ごり押しする力
この際、工期短縮するには設計変更が必要だったはずです。つまり、先に派遣されていた技術系官僚の工法などを変更しているはずなのです。難工事でこのような設計変更をするには高い技術力と現場仕込みの喧嘩腰も必要でしょう。元の設計者を説得することになりますから現場にものすごい軋轢が生まれるからです。でも弘法大師はごり押しして、それをやり遂げたのだろうと思います。それくらい有無を言わせぬ技術力があっただろうし、結果に責任を取る覚悟もあったでしょう。もう一度決壊したら終わりですから。

中退して荒行しながら科学を修める
平安時代最初の遣唐使船で中国に渡り、多くの経典と教えを持ち帰られた弘法大師は、同時に大変な技術者でもあったということになります。しかし、いったいどこでそんな能力を。もちろん唐での見聞もあったでしょうが、私はそれよりも青年として仏教の教えに目覚めてエリート養成学校を中退した後にその秘密があると思います。若いころに学校を中退して山に籠った謎の数年間があるという説です。この説によれば、弘法大師は山中で荒行をしながら中国語と鉱物学を学んでいます。中国語は今でいえば英語であり、鉱物学は今でいえば地球科学です。ものすごく体力を消耗する山中の荒行の最中に最先端の言葉と科学を習得する20代の弘法大師の努力は計り知れません。(まるでオリンピック選手の鍛錬をしながら最先端科学を修めるようなものではないか)そんな弘法大師だからこそ平安時代初期の多くの難問を解決されたのだろうと推察します。

●社会に献身する力とは
私たちには今どんな力が必要なのでしょうか。「賛成のための賛成」「反対のための反対」では言葉ばかりが踊って問題は蚊帳の外。反対すればいいというものではない。弘法大師がなぜ数々の難問を解決できたのか。それはまず正面から難問と向き合ったからだろう。賛否などする前にとにかく解決に向かったからだろう。そしてその解決力を蓄えていたからだろう。そう思います。社会に献身する力について、もう一度はじめから自分を見つめなおさなければ。

12/26(土)京都18:30~ フィンランドのベーシックインカム研究開始とは

2015年12月12日 01:40

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●イベントのご案内
下記の要領で第4回 オープンフォーラムを開催します。
特別ゲストに元GacktjobのベーシストRenさんが来てくれます。

・テーマ 「フィンランドのベーシックインカム研究開始とは」
・日 時 平成27年12月26日(土)午後6時半~午後8時半
・場 所 ウィングス京都2F ビデオシアター
     地下鉄四条駅・阪急烏丸駅(20番出口)から徒歩5分

・次 第
  第1部 Ren×平の対談「BIのある社会と表現者」
  第2部 平智之講演
  第3部 討論会

・参 加 1,000円(事前申込なし)
・主 催 平智之事務所 info@t-taira.net

<内容>

●関連記事を読んできてください
ネット上に「フィンランドでBIが今すぐはじまる」との情報が見られましたが、事実は導入可能性の研究を開始するということのようです。主体はフィンランドの社会保険庁にあたるKELAとの報道があります。「まだ研究なのか」と思われるかもしれませんがユトレヒト(オランダ)の実験計画と同様に世界にBIへの関心を喚起するニュースです。フィンランドの財政状況、移民問題、高齢化率などで世界中から「それは無理だろう」との疑問も提起されるだろうと思います。しかし重要なタイミングです。各自情報を入手してきてください。

●講演後にオープンフォーラム(公開討論)へ
まず私から講演を行います。カナダ、オランダ、スイス、ブラジル、そして今回のフィンランドの計画をレビューしたいと思います。その後オープンフォーラム(公開討論)を行います。発言したい人が発言して下さい。1回59秒以内でお願いします。もし59秒越えるとチン!とベルが鳴ります。もちろん聞くだけの方も歓迎です。

11/28(土)放談会「一緒にニュースを読んで」第3回

2015年10月29日 16:40

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●イベントのご案内
下記の要領で第3回 放談会を開催します。ご参加お待ちします。

・テーマ 第3回 放談会「一緒にニュースを読んで」
・日 時 平成27年11月28日(土) 午後6時半~午後8時半
・場 所 ウィングス京都2F ビデオシアター
     地下鉄四条駅・阪急烏丸駅(20番出口)から徒歩5分
・参 加 1,000円(事前申込なし)
・主 催 平智之事務所 info@t-taira.net

<内容>

●事前の予習はいりません
特定の知識や予習の必要は一切ありません。
はじめに新聞・テレビ等の報道内容を私からご紹介します。
そのあと放談形式(話したい人が話す)で意見交換します。

●1回59秒以内で
一回の発言時間を59秒以内とさせてください。
もし59秒越えるとチン!とベルが鳴ります。

●中継しません
オープンフォーラム放談会は自由な発言を大切にします。
中継はいたしません。

TPPと中国について

2015年10月22日 15:57

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2015年10月21日弘法さんの日。東寺東門前で。


10月21日(水)、雲一つない秋空の下、弘法さんにお参りの大勢の皆さん。
東寺東門前の街頭でお話をさせてもらった。

●農産品も80%以上の関税撤廃へ
毎日のようにTPPのニュースを見る。年限を決めて、工業産品は100%、農産品は80%以上の品目で関税撤廃に向うという合意との報道だ。まだ現状では政府間の合意に過ぎないから各国が議会で可決しないと発効はしない。日本でも米国でも議会で紛糾するだろう。国内の生産者や労働者を守れるかどうか(そういう制度と予算がつくれるか?)で紛糾するだろうが、可決する可能性も十分にある。

●期待と心配が相半ば
TPPは生活費に直接影響するだろう。海外の安い野菜やお肉が入ってくる。でも品質の問題は大丈夫だろうか。日本の高級食材が輸出しやすくなる。たとえば京野菜は海外で高く売れるだろうか。

(捕捉)2017年4月の10%消費増税の際に軽減税率で食品を減税し、なおかつ外国産で食材が安くなったらTPPメリットが二重に目立つという計算があるかもしれない。

●オバマ大統領の言葉
1点だけ私の意見を述べておきたい。あるメディアが「これで中国包囲網が完成した」という主旨の記事を掲載したと聞いたが日本の通商外交戦術として包囲網にメリットがあるだろうか。確かにTPP加盟国の政府間妥結直後にオバマ大統領が「ビジネスのルールづくりが中国主導で進められることを許すわけにはいかない」という主旨の発言をしたとの報道がある。しかしそれはイコール「中国の孤立化政策」を意味しない。中国主導ではない太平洋アジア交易圏が誕生するならば、そこに中国を迎えてもオバマ大統領の発言と矛盾しない。

●シナリオ比較という定石を
好き嫌いではなく、いくつかのシナリオを比較するのは定石だ。来年中にもしTPPが発効するならば、中国にも参加してもらえるように日本が交渉の労をとるのが東アジアにとって有益となる可能性も検討してはどうか。さらに、もともと日本政府が進めてきたASEAN+6(日、中、韓、豪、NZ、印)に則って韓国にもインドにも参加のアピールをしていくのはどうか。ところで私はアジア太平洋経済圏の構築には賛成だが、その方法はTPPよりもASEAN+6から米国にも参加を求めていく方が有益だと思っている。

●弘法さんがおられたら
平安時代最初の遣唐使船で中国に渡って真言密教の極意を会得された弘法大師が、もしいまこの場に立っておられたら中国と日本のこれからについてどのようなお考えをお話になるだろうか。そんな思いを胸に、今日は弘法さんにお参りの皆さんに「TPPと中国」のお話をさせていただきました。

8/21弘法さん街頭演説 「安保関連法案と人々の心」

2015年8月23日 16:48

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平成27年8月21日(金)九条大宮交差点にて


毎月21日は弘法さんでの街頭演説。
平成27年8月21日、東門と大宮九条(上写真)で次のような話をさせてもらった。

●阿弥陀さんもお不動さんも
曼荼羅のまんなかに大日如来がおられる。弘法さんは、すべての仏さんは大日如来が姿をかえたものだとされた。お釈迦さんも、阿弥陀さんも、お薬師さんも、お不動さんも、優しい仏さんから憤怒の仏さんまで、すべて"真理そのもの"である大日如来のひとつの姿だとされた。慈しみの心も怒りの心も真理に至る入り口のひとつひとつだと言われたのだろうか。

●安保関連法案の賛成と反対
安保関連法案について想う。安保関連法案に賛成する側からは反対する側が"現実を直視できない人々"に見え、安保関連法案に反対する側からは賛成する側が"戦争をしたい人々"に見えている。

●賛成も反対も同じ心が姿を変えたもの
弘法さんなら、このような人々の心の状況をどのようにお考えになるだろうか。もしかすると賛成派も反対派も「おなじ心が姿を変えたもの」といわれるのではないか。 誰も戦争で家族や幼なじみやふるさとを"失いたい""奪いたい"とは思わないだろう。"失いたくない"が恐れの心を、"奪いたくない"が祈りの心を生むけれども、まんなかは同じだと。

●"失わない" "奪わない"ために
いま大切なのは、両派とも共通してまんなかに持っている"失わない" "奪わない"理想のためにどうしたらいいかを具体的に話し合うことだろう。まんなかはひとつ(同じ)だとお互いに了解し合わないと具体的な議論ができない。なぜなら"相手を叩きたいだけ"で言葉じりや過去の資料などで枝葉末節の議論に終始するから。批判の牙をむかないで国民全体でこれからの話ができないか。国会の議論はそのお手伝いをすることに尽きると思う。

(追記)先月7/21の弘法さんでの体験。いくつかの話題のなかで安保関連法案の話をしたところ、お参りの方から声をかけられた。「あなたは先ほどから"戦争法案、戦争法案"と言うが、その考え方がおかしい。」と。しかし私は"戦争法案"という言葉を使ったことがない。きっとその方は日頃から戦争法案という言葉に反意があって、私の演説中にその言葉を創作されたかと思う。私が話していることより、どう聞こえているかが、聞いている人にとっての私の話だ。自分も同じことをしているかもしれない。決めつけないで話し合ってみないとわからない。

祇園祭と貞観地震

2015年7月17日 22:56

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●雨のなかの山鉾巡行
本日、台風11号の雨のなか
前祭(さきまつり)の山鉾巡行が挙行された。
祇園祭山鉾保存会の役員の皆さんと町衆の皆さんに感謝。
と同時に阪神淡路大震災と東日本大震災にも思いを込めたい。

●貞観地震の鎮魂
実は貞観地震の発生と祇園祭(祇園御霊会)のはじまりはほぼ同時。
貞観地震の発生は貞観11年(869年)5月26日。
祇園祭のはじまりは同年6月7日との記録。
だから祇園祭のはじまりは疫病退散だけでなく、
貞観地震被災への復興祈願と鎮魂だったという説がある。

●平安京だから鎮魂は自然
私はその説を信じる。
たとえば長岡京や難波京は地名を冠する都だが、
平安京は"平安"という祈りの詞を冠する都。
朝廷が世の平安を願って震災の御霊(みたま)を鎮めようとするのは、
平安京ならごく自然に思える。

●巡行の直前
写真は本日の朝9時の巡行の舞台裏。
私の住まいのすぐ近くの岩戸山
巡行出発に向って移動中。

●学生さんにありがとう
もう一枚は引き手に巡行本番の説明中。
きっと京都の大学に学ぶ学生さんもおられるだろう。
京都に来てくれて山鉾を引いてくれてありがとう。
みなさんの存在が鎮魂の証です。

●京に生まれた者として
京の都が世界の平安を祈る場所であるという自覚を
京に生まれた者としてこれからも大切にしたい。

6/27(土)京都放談会「一緒にニュースを読んで」第2回

2015年6月17日 17:19

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●平智之主催イベントの告知
6月27日(土)18:30~放談会を開催します。
参加無料、申込不要です。ご参加お待ちします。

・テーマ 放談会「一緒にニュースを読んで」第2回
・日 時 平成27年6月27日(土) 午後6時半~午後8時
・場 所 ハートピア京都(京都市営地下鉄烏丸線「丸太町駅」5番出口)
・参 加 参加無料、事前申込なし
・主 催 平 智之 info@t-taira.net

<内容>

●事前の予習はいりません
予習なしで来てください。特定の政治や時事問題だけをテーマにしません。日々流れているスポーツ、生活、社会関係のいろんな分野のいろんなニュースを一緒に見ていきます。
・そのニュースちょっと気になる
・誰かわかりやすく解説してくれないか?
・これは言わせてほしい!
という放談会を。ただし発言は必須ではありません。聞くだけの方も歓迎です。

●世代間の対話に心がけます
 そういえばこれまで意見の明確な年長者の発言時間が長く、若い世代の発言時間が短いこともありました。今回は、なるだけ世代間の時間配分に気を付けたいと思います。世代間の対論になってもいいかもしれません。とにかくやってみましょう。

●同時中継ないので自由にご発言を
オープンフォーラムは自由な発言を大切にしますので中継はいたしませんし、アーカイブも公開しません。不規則発言歓迎です。ところで私の政治的な話題や政策的な意見はツイキャスでじっくりやらせていただきます。

ジョン・ナッシュの訃報に接して

2015年5月28日 21:25

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読んでみたらすごく難解だったが、どうしてもその理論を知りたくなった本

●ジャン・ジャック・ラフォン
2003年頃にジャン・ジャック・ラフォンという仏経済学者の学術書を読んだ。国土交通省の委員会委員として入札制度の議論をしていたときだった。なぜ建設業者は赤字覚悟の価格で応札するのか?ダンピングの定義やそれが起こるメカニズムとはなにか?等について法律家、経済学者、民間識者(私の立場)が参加していた。その折に経済書をいろいろ読む中でラフォンの名前を知った。ジャン・ジャック・ルソーに名前が似ているのですぐに覚えた。

●セカンドベストの作り方
昨年のアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞(俗にいうノーベル経済学賞だがノーベル賞ではないようだ)を受賞したジャン・ティロールとラフォンの共著である「調達と規制のインセンティブ理論」(上の写真)はもちろん理解の範囲を超えていたが、なんとかその理論を知りたいと思わせる1冊だった。世のなか契約事でベストは得られない。せいぜいセカンドベスト(次善の成果)が関の山だけど、だったらその関の山であるセカンドベストはどのような契約書で実現できるか?セカンドベストが実現できることも凄い、そんなことを理論的に教えてくれる本だった。独占禁止や不正競争防止は万国共通のルールではなく、各国の文化や各業界の現場ルールに則しているほうがいいと、その時以来思っている。

●お互いに裏切り合うこと
そしてラフォンの本を読む中で、ジョン・ナッシュ(1994ノーベル経済学賞)の理論にも触れることができた。ミクロ経済やゲーム理論を学ぶ順序がでたらめなのだけれども門外漢としてそれが楽しい。お互いにウソをついたり裏切る方が有利になる、つまりお互いに非協力的である方が有利だとみんなが思う"世の中の落としどころ(均衡)"とは何かを理論的に理解させてくれた。

●東アジアの協力解
それどころか、永遠にお付き合い(無限繰返しゲーム)することがお互いにわかっている時、お互いに裏切らないで協力し合った方が全員にとって不利がないという落としどころがあるという理屈(フォークの定理)には夢を感じた。この定理によれば永遠にお隣さんであることを拒否できない日中韓のような東アジアはお互いに協力し合うことが理論的な答えなのだと、その時以来思っている。

●ナッシュの訃報に接して
私とミクロ経済学の接点はとても細い。たまたま関心に任せて何人かの経済学者の理論に触れただけなのに、そんな細いつながりのなかで知りえた二人の知性がもうこの世にいない。ジャン・ジャック・ラフォンは2004年に早逝し、そしてジョン・ナッシュが奥様と共に一昨日交通事故で亡くなった。失うことの寂しさが止まらない。ご冥福をお祈りする。