平智之の活動ブログ

8.9円~の間違い

2012年3月 6日 20:20

●原子力コストは本当に安いのか?
昨日(3/5)は枝野幸男経産大臣に委員会質問いたしました。テーマは原子力コストの問題点です。未来のエネルギーベストミックス(原子力、火力、水力、再生エネ等の最適な組み合わせ)を検討するうえで必要となる「電源種別ごとの発電コスト」が政府により図1のように推定されています。2030年において原子力コストが最も低いように見えます。これが大問題です。委員会では、この図を公表すること自体の問題に加えて、原子力コストが「極めて高コスト」の電源であることを主張いたしました。


図1:主な電源の発電コスト.JPG

図1:主な電源の発電コスト(2030年モデルプラント)


●下限値のワナ
図の大きな問題は「~」という表記(図2)です。たとえば石炭火力であれば10.3~10.6のように推定の下限と上限が示されていますが、原子力のみ8.9~と下限値しか示していません。後述のとおり、上限はとてつもなく大きな数字となる可能性があるのですが、政府としては「わからない」から下限値のみ示したという理屈です。これも後述する通り、下限値は広域除染や大都市圏損害を見積もらない「過度に低い数字」であり、結果として他の電源に比して棒グラフの長さが一番短くなっているのです。このままでは、国民各層に「やっぱり原子力は一番低コスト」という間違った認識が広がってしまいます。


図2:下限値だけを示す原子力コスト.JPG

図2:下限値だけを示す原子力コスト


●8.9円の間違いを指摘
そこで枝野大臣に向けて、"8.9円~"がいかに問題のある数字であるかを質問したのです。"安価な原発"という強烈なミスリードを生じかねません。8.9円を推定したのは政府のエネルギー・環境会議のコスト等検証委員会であり、昨年末(12/19)に提示した「コスト等検証委員会報告書」(以下、報告書)のなかで公表されました。本報告書のなかで、原子力コストの構成=①資本費(建設費など)+②運転維持費+③核燃サイクル費+④追加的安全対策費+⑤政策経費+⑥事故リスク対応費の6つのコスト構成が示されました。私は、①資本費、②運転維持費、⑤政策経費、⑥事故リスク対応費の4つのコストについて独自の推定を行いました。


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●資本費の間違い
資本費に原発の建設コストが含まれています。報告書では2010年と2030年で国内建設コストに変化がないとされています。(図3)これが大きな間違いです。欧米の事例では単体の原発施設の当初予算が最終的には1.5倍~3倍に膨れ上がっています。(図4)また全米の原発について1970年~2000年の30年間で見ると、1979年のスリーマイル事故以来、安全対策等のために建設コストは上昇を続けています。Cooper氏らによる最近(2010年)の研究です。(図5)日本は3.11を経験したのですから、今後の原発建設コストが上昇すると見るのは当然の推論です。


図3:今後20年間上昇しないという誤った仮定.JPG

図3:今後20年間上昇しないという誤った仮定


図4:原発建設コストの当初と実績.JPG

図4:原発建設コストの当初と実績


図5:全原発(米国)の建設コスト経年変化.JPG

図5:全原発(米国)の建設コスト経年変化


●資本費だけで3.7円の増加
以上のデータに基づいて資本費を再計算しました。直近5つの国内原発(女川3、浜岡5、東通1、志賀2、泊3)の平均建設コストをCooper回帰直線に代入して2030年の建設コストを計算すると1基約7,200億円(120万kW換算)になりました。この結果、1kWhあたりの原子力コストは報告書の2.5円から4.3円へと上昇し、資本費に比例して上昇する運転維持費は3.1円から5.2円へと上昇します。資本費だけで3.7円の増加となりました。
(図6)


図6:資本費および運転維持費の再計算.JPG

図6:資本費および運転維持費の再計算


●政策経費の間違い
政策経費にも問題があります。政策経費には電源立地地域対策交付金が含まれています。報告書は平成23年度予算の1,278億円を用いており、2030年も同額であるとしています。そんな推定は認められません。周知のとおりEPZ(緊急時計画区域)が30kmに改訂されようとしています。原発事故の被害想定範囲を拡大すれば、交付金を受給する関係市町村が増加するのは必至です。確かに交付金の算定式は出力や電力量に依存し、人口とは関係ありませんが、交付金の根拠法である発電用施設周辺地域整備法で「地域住民の福祉の向上」が目的と定められており(図7)、対象はあくまでも住民なのです。また周辺の地域の"周辺"について確たる定義はありません。自治体間で相互に協議して交付金を受給する関係自治体が決められているのです。法定の"周辺"が不定である以上、甚大事故を経て関係自治体が増えるのは自明です。


図7:電源立地地域対策交付金の目的.JPG

図7:電源立地地域対策交付金の目的


●EPZ30kmで2.5倍に
国内54基の原発施設に関して、すでに現在の交付金を受給している市町村の人口とEPZ30km圏内の人口を比較(図8)すると、前者が約330万人で後者が約830万人。約2.5倍となります。したがって交付金は1,278億円に人口比を掛けて3,195億円と推定されます。原発コストとしては0.7円の増加となります。


図8:EPZ30km圏への対象人口の増加.JPG

図8:EPZ30km圏への対象人口の増加


図9:政策経費(立地含む)の再計算.JPG

図9:政策経費(立地含む)の再計算


●事故リスク対応費用の間違い
事故リスク対応費用の推定は最も大きな間違いを含んでいます。報告書はモデルプラントで考えるという前提なのに、なぜか福島第一を前提にして5.8兆円としました。しかも生命・人体損害、広域除染、中間貯蔵・最終処分等という極めて大きなコストを要するリスク要素を"わからないから"という一言で除外しました。いわゆる積算落ちです。だから、8・9円は下限値と呼べるものではありません。"下限値の計算途中"に過ぎないのです。


●ひと桁違う事故リスク
大都市圏影響という観点だけで言えば、福島第一よりも影響の大きな原発を認めざるをえません。琵琶湖を影響圏とする福井県の原発や、東京を影響圏とする浜岡原発であれば、福島第一で推定された5.8兆円ではすみません。実はすでに下図(図10)のような研究があり、原発事故リスクの過小評価に警鐘が鳴らされています。これらの研究から事故リスク対応費用を5.8兆円のひとケタ違いの50兆円と推定しました。これだけで原子力コストは4.1円の増加です。


図10:民間機関、研究者の試算事例.JPG

図10:民間機関、研究者の試算事例


●下限値は報告書の2倍になる
以上を合計して、私の推定原子力コストは政府報告書の約2倍となり、8.9円が17.4円(+8.5円)となります。つまり私の推定では17.4円が下限値なのです。本来ならば核燃サイクルの増額(感度3倍分析および再処理施設そのものの事故・除染を含む)、さらにストレステストで問題となる追加的安全対策費の増額分を勘案しなければなりませんから、"17.4円~"であり、上限は容易に20円に超えるのです。核燃サイクルのバックエンドに割引率を使わない場合は30円代も想定できます。繰り返しますが、決して"8.9円~"ではありません。


●大臣答弁「8.9円はあまり意味をもたない」
以上の原子力コストの推定を示したうえで行った私の質問に対して、枝野大臣から次のような答弁がありました。
(大臣答弁)「(8.9円が)何か中心値や予測値のように巷間言われているとすれば、これは強く否定をしなきゃいけないだろう」
(大臣答弁)「原発の今後のコストが安いということを前提にエネルギー基本計画を立てるつもりは全くありません」
(大臣答弁)「少なくとも原発については、(中略)その最低の線の金額が余り意味をもつものではないというのは、そのとおり」

●大臣答弁「(原発依存度ゼロの)可能性を否定しない」
私は最後に次のように質問しました。
(平質問)「エネルギー政策をゼロベースで見直すうえで、原子力の依存度がゼロから100、すべての可能性があるというふうにお考えか」
(枝野大臣答弁)「最終的にゼロにするのか、依存は限りなくゼロにするけれども若干は残すのか、これは総合エネルギー調査会でもさまざまな御議論があるというふうに承知をしておりますが、(依存度ゼロが)選択肢、可能性のなかにあるのは否定しません」
今回の委員会質問のなかで最も重要な答弁です。「依存度ゼロを否定しない」のです。

●ぜひ映像でご確認ください
国会のリンクで質問の一部始終を見ることができます。30分の質問時間で、最後の5分間では「3歳未満児の放射能に対する食材管理」についても質問しております。原子力政策の今後について政府が何を考え、一人の議員として私がどう考えているかをみなさんにお知らせする重要な国政報告だと思っています。ぜひ一度ご覧ください。

(注意)上のリンクで見えない方は、国会のインターネット中継のホームページからご覧ください。http://www.shugiintv.go.jp/ ※「日本語」をクリックすると画面が変わります。そこで、発言者に「平智之」を入れて「予算委員会第7分科会」の横の模様をクリックすると中継がご覧になれます。

核燃料再処理施設(六ヶ所村)の視察

2012年2月28日 20:40

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●昨晩から六ヶ所村へ
一昨日(日曜)は京都市内で国政報告会と街頭演説を行い、そのまま青森に飛びました。大雪で厳寒の青森に夜8時過ぎに到着。空港バスで宿泊予定のホテルに近い停留所へ。ホテルまで通常は徒歩15分だそうですが雪道で半時間ほど歩いて凍えました。

●日本原燃の核燃サイクル事業を視察
昨日(月曜)は朝一番から日本原燃の核燃サイクル事業の施設を視察。この施設は「使用済み燃料の再処理」だけではなく、原料から再処理そしてMOX燃料製造までの7つの事業で構成されています。(1)ウラン濃縮事業(2)低レベル放射性廃棄物埋設事業(3)高レベル放射性廃棄物貯蔵管理事業(4)使用済燃料受け入れ貯蔵事業(5)再処理事業(6)MOX燃料製造事業(7)輸送事業です。

●はじめから終りまで
ウラン(6フッ化ウラン)を輸入して⇒濃縮して⇒燃料製造して⇒使用済みを回収して⇒貯蔵して⇒再処理して⇒MOX燃料製造して、という流れです。まさに、はじめからおわりまでなので、再処理だけではありません。

●年間の予算は約3,000億円
この事業の収入は、私たちの電気代に薄く広く(総括原価方式)載せられている料金の一部が電気事業者を経由して年間で約3,000億円です。排出される使用済み核燃料の重量が基準となって自動的に支払われる仕組みとのことで、税金と同じ構造です。

●核燃料サイクルの可否
私は一貫して核燃料サイクルの妥当性に疑問を投げかけてきました。施設を見て、専門家の説明を聞いても、その疑問は変わりません。六ヶ所の前には東海村の再処理施設も視察しました。東海村よりさらに高度な施設でしたが技術の進歩が説得力になりません。そもそもの考え方に瑕疵があるからです。

●挙証責任を反転へ
最終処分の場所が国内に存在し得ない。ガラス固化体の製造技術が不定。TRU(高濃度放射性廃棄物)の数万年管理がナンセンスなど数多くの疑問。しかし、すべてについて原燃も経産省も「場所がないとは断定できない」「技術的に不可能とは断定できない」という「とは言えない」の構造。「だめだと言うなら証明してみて」と挙証のボールを国民に渡すのです。逆です。挙証責任は原燃と経産省にあります。「ある」「できる」と断定できない限り、「ない」し「できません」。

●しかし再処理以外は極めて重要
再処理への疑問は引き続き追及します。しかし再処理ではなくて最終処分は未来に向けて必須の技術となります。六ヶ所施設の中心はガラス固化体の製造工場ですが、実はガラス固化体製造以外の部分が極めて重要です。

●中間貯蔵と低レベル廃棄物の保管
六ヶ所村には高濃度放射性廃棄物を30~50年貯蔵して崩壊熱を少し冷ます中間貯蔵の施設があります。これがないと地層処分できません。必要な技術です。また地表近くのピットやトレンチで保管する低レベル(と言っても極めて高い)廃棄物の管理技術も必須です。NUMOやランデックとともに、さらなる技術開発を求めていかなければなりません。再処理以外の技術は未来に必要だと考えます。

●汚染を盾に数万年の事業
ただし、必要だと言っても決して夢の技術ではありません。汚染を盾にした脅しの理屈です。「こんなに汚れてるんだから片付けるしかないだろう」という脅しです。似た構造が金融にあります。Too big to fail(大きすぎて潰せない)です。本来なら債務超過で潰れるはずだが、潰したら連鎖倒産等の負の影響が大きすぎて潰せないという事態を指します。東電の実態と同じです。これを原発産業にたとえるとToo dirty to finish(汚染されすぎて終われない)です。最終処分技術の研究開発を止めたら1万数千トン(ウラン重量で見ると広島原爆の数十万発分)もの使用済み核燃料がほったらかしになります。許されないのです。やるしかないのです。それでもまだ汚そうとする(原発を継続して使用済み燃料を出し続ける)のは、さらなる事業量の確保を生み出す意味で、極めて罪深い産業と言わざるを得ません。

日本人がはじめて創った色

2012年2月24日 20:16

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●真朱(まそほ)の赤

本日も原発事故収束、東電問題、予算・決算透明化に加えて様々な問題に取り組みました。そんななか、午後1時間ほど真朱(まそほ)と呼ばれる色を見るためにホテルオークラへ行きました。「真朱(まそほ)の夜明け」という東日本大震災復興のチャリティーイベントです。


●空に滲みだしてくる朱色

染織作家の吉岡さんによると、日本人がはじめて創った色が真朱(まそほ)なのだそうです。夜明け直前の太陽光の色。縄文や弥生の太古の夜明け前は、当然電気などないですから漆黒の闇。その暗闇から太陽の光が空に滲みだしてくる色だと言われれば想像できます。その色を真朱(まそほ)として創りだした、とのことです。金赤とか紅赤ではない、自然の顔料で創る赤です。


●名家の逸品に用いられる朱色

会場には、近衛家、徳川家、伊達家、観世家、千總西村家、永楽家、蜂谷家が所蔵する逸品が展示され、その作品(振袖、打掛、陶磁器、香盤、陣羽織、象嵌など)のなかに真朱(まそほ)があるのです。


●日本に必要な真朱(まそほ)

このチャリティーイベントの主旨に賛同します。いま日本に必要なのは真朱(まそほ)のように暗闇から滲みだす光だと思います。自然と調和する精神で困難を克服する、それが日本の流儀だと心得てこれからの問題に対処してまいります。自然だから中庸です。ブレたりズレたりせずに真中(正論)を進みます。


●香を焚きました

イベント会場の出口に売店があって、お香があったので香立と一緒に求めました。よく見ると京都の松栄堂さんでした。さっそくパソコンの横で焚きました。自然の力に感謝します。

予算と決算を透明化します

2012年2月23日 20:12

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●予算・決算の透明化
行政改革調査会で予算・決算透明化ワーキングの事務局長を務めています。座長は逢坂誠二衆議院議員(元ニセコ町長)です。かつて町長として予算と決算の透明化を実行されたとのことで、一切ブレずに透明化に突き進んでおられます。21日(火)は、このワーキングで財務省からADAMSⅡ(アダムス・ツー)の説明を受けました。国からの支払い情報がすべて入力されているシステムです。

●年間で2,800万件の登録
鉛筆から巨大プロジェクトまで、すべての支払い情報が入力されていますので、年間では実に約2,800万件の登録となっています。専門用語では"支出負担行為"の登録です。契約と納品(または出来高)をチェックして日銀からの支払いを認める行為を指します。支出負担行為だけでなく、歳入徴収、債権管理、勘定間の繰り入れ等もあり、金額ベースでは約400兆円(一年です!)を扱います。

●予算と決算の突合(とつごう)
歳入予算と決算は主管→部→款→項→目、歳出予算は所管→項→事項→目というように科目・費目が徐々に細分化されていきます。目(もく)には95012-2111-01というような11ケタのコードが振られています。H20年度予算からは予算も決算も「目」でコードが一致するようになっています。予算書と決算書を見ると確かに目(もく)で項目名が一致しており、予算計上したけれども使わなかった分は、翌年度への繰越分を除いて不用額となる様子が明快に見て取れます。

●たとえば議員歳費でみると
平成22年度の予算と決算を見ると、項の001は衆議院を意味し、歳出予算合計は66,269,618,000円(約660億円)となっています。そして、その内訳を目でと突合すると、
95012-2111-01 議員歳費 (歳出予算額)10,288,410,000 (支出済歳出額)10,099,944,590
95012-2111-02 職員基本給 (歳出予算額)8,458,429,000 (支出済歳出額)8,334,963,707
という具合に予算と決算で比べることができます。予算額と支出済額の差額から翌年度繰越額を除くと不用額です。

●しかし目(もく)とADAMSⅡは切れている
ワーキングでは、この目(もく)をADAMSⅡにどのように連結できるか模索しています。(それが必要かどうかも含めて)ご紹介した議員歳費なら目での確認で良いかもしれませんが、たとえば建設工事1件は目(もく)の下の下の下の下の・・・といった具合です。目(もく)からさらに、もっと下の階層まで見ていかないと予算と決算の一貫性を知ることはできません。さらに細かいコードを振るのか?あるいはコード以外の方法(キーワード等)でADAMSⅡの登録支出負担行為から目(もく)が重複なく計算(純計)できるようにするのか?

●そんな細かいことを?
なかには政治家はそんな細かいこと言うな。もっと大きく構えて大きな問題を語れ、という方もおられます。官僚の多くにもそうした思いがあるようです。それは確かに大事なことですが問題はそれぞれです。私が原子力規制行政や八ツ場ダムの問題で取り組んでいるように、非常にミクロで詳細に入らないと改革できないこともあるのです。大きなことには大きく、細かいことには細かく。徹底して追及してまいります。

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政府事故調の徹底調査を追及します

2012年2月15日 21:52

本日、原発事故収束PT(プロジェクトチーム)で政府の原発事故調査委員会(通称:政府事故調)の中間報告内容を聞きました。委員会事務局からの報告です。私からは次の質問をしました。

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●なぜ統合本部が設置されたのか?

事故後、東電2Fに本部が設けられました。吉田所長の現場と東電2Fとを大きなモニターでつないで時々刻々のプラントパラメーターを見ながら東京から現場に指示が出されていました。「統合本部」と呼ばれました。しかし、この組織は法律に依拠していません。原子力災害特別措置法が規定しているのは「対策本部」です。なぜ法律に依拠しない別組織を作ったのか?それは正しく機能したのか?本来は対策本部でなすべき真剣勝負の意思決定を"丸投げ"する機関になっていなかったか?それを裏付けるように、統合本部の議事録はあるのに対策本部の議事録はないとされているのです。議事録がないはずはありません。メモなら当然あるはずです。事故調は統合本部設置の問題を徹底的に追及すべきです。そして議事録(あるはず)を公表すべきです。

●ICを止めたのは正しい判断か?

実は全電源喪失しても炉を冷やすことのできる装置が取り付けられていました。IC(アイソレーション・コンデンサー)と呼ばれます。このICが機能しませんでした。なぜか?報告書は「現場がICの弁を閉じたからだ」と結論しています。しかも、弁を閉じたのは「正しい判断だった」と述べています。本当でしょうか?ICは非常用冷却装置であって、非常時に使わないでどうするのか?この弁を閉じたためにメルトダウンした、と結論しているようなものです。急冷すると熱疲労するからという運転ガイドラインもありますがメルトダウンを起こしていいわけはありません。危機に直面した現場が、はたして燃料棒の溶融を覚悟して弁を閉じられるか?逃げ出したいくらいに緊迫した現場だったはずです。助けてくれ!冷えてくれ!との思いで一杯だったはずです。だから私は別の可能性を検証すべきだと思います。ICの破壊です。地震でICが壊れたいた可能性です。弁を閉じたのではなく、動かしたくても動かなかった可能性です。しかしそれを認めるとストレステストがすべてダメになります。一次も二次も津波は考慮しますが地震による破壊はチェックしていません。事故調は地震による装置・配管等の破壊の可能性を徹底的に調査すべきです。そしてストレステストを変えるべきです。

参考:福島第一原子力発電所1号機非常用復水器(IC)作動時の原子炉挙動解析、平成23年12月9日、独立行政法人 原子力安全基盤機構原子力システム安全部
http://www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/28/004/231209-3-2.pdf

●SPEEDIの結果をなぜ止めたのか?

SPEEDIはデータがなかったので出せなかったと思われがちですが、ちがいます。たとえば飯館村で言うと、どれくらいの量の放射能が飯館村に届いたかは確かに不明でしたが、飯館村まで放射能が届いていたことは初日から判明していました。SPEEDIの単位放出源データです。そもそも原子炉の上部で測定される放射能をSPEEDIの放出源データ(1ベクレルが炉から出たら、どの方角にどこまで飛ぶか?)に代入して、どれくらいの量が、どの方角に、どこまで到達するか?を知るのがSPEEDIです。そのうち"どれくらいの量が"がないだけで、どの方角に?どこまで飛ぶか?は事故直後から分かっていたのです。炉の測定装置の故障とは関係ありません。そして、その単位放出源データは3月11日から官邸に届けられていました。飯館村にもファックスされていたという伝聞もあります。なぜ住民に伝えられなかったのか?誰が、どんな目的で止めたのか?あるいは本当に、そのデータの重要性を知らなかったのか?北西に非難した多くの被災者の被ばくを相当程度減じることができたはずの重大事案です。事故調は初日から官邸に提出されていた単位放出源データの官邸における扱いを徹底的に調査すべきです。

飯館村の除染実証を視察

2012年2月 5日 12:40


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●飯館村へ除染実証の視察に

2月4日(土)は朝一番から飯館村に入りました。除染実証事業の視察が目的です。汚染土壌等を除染する装置を見に行きました。この事業の正式名称は内閣府委託事業「福島第一原子力発電所事故に係る避難区域等における除染実証業務」における「平成23年度除染技術実証試験事業」です。

●移染と除染は違う

「え?まだ試験中なのか?」「除染は進んでいるはずだが」と思われるかもしれません。しかし、いま行われているのは除染ではなくて移染です。散在する汚染された土壌、がれき、落ち葉などが集中保管施設に移動しているだけです。私が視察した場所にも、汚染物がパンパンに詰められた真っ黒の大きな袋が大量にうず高く積み上げられていました。保管しているだけですから、土壌とがれき等の移動に他なりません。放射性物質ではなくて、放射性物質が付着した土壌とがれき等が移動して何箇所かで集中保管されているだけなのです。

●移染では解決にならない

保管と書きましたが、これは仮置きです。うず高い袋の山を作って放置です。これをずっとこのままにしておくことはできません。黒いビニールシートの大きな袋に詰め込んで積んでいるだけですから、いずれ微生物や放射線で袋の素材が劣化して内容物が出てきます。一部は風で飛散し、また一部は水で流出するリスクを持ちます。移染はあくまでも緊急的な対策なのです。

●除染は剥離と減容化

除染で必要なのは減容化です。土壌とがれきは大量ですから容積を減らさなければなりません。減容化と呼ばれます。そして減容化で必要なのはセシウム等の放射性物質を土壌やがれきから剥離させることです。剥離したセシウム等だけを集めて濃度を高めて保管すれば小さな容積で保管することができます。セシウム等が剥離できれば、残余の大量の土壌やがれき等は比較的安全物として扱うことができます。

●まったく新しい装置

以上に述べた剥離と減容化の技術は、世界が必要とする最先端の技術ニーズとなります。使用済み核燃料の処分や廃炉など、世界が過去数十年程で生み出してきた膨大な汚染物質および施設のバックエンドにも有効となりえます。現実にいま目の前に原子力災害の現場を持つ日本が、この分野の技術で世界をリードしないことなど考えられません。日本の使命です。

●国の研究組織から出てこない

日本人はしばしば自分たちが最先端技術を持っていると自負します。私もそうです。でも、それはしばしば高品質化やコスト低減や量産などの応用技術分野であって、まったく未知の領域である場合には足踏みすることもあります。今回の除染技術がそうかもしれません。JAEA(日本原子力研究開発機構)、JNES(原子力安全基盤整備機構⇒原子力規制庁へ)、産総研(元・工業技術院)、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、NIMS(物質・材料研究機構)などなど、除染技術の発明に貢献できそうな大所帯の研究組織があるのに画期的なニュースが出てきません。

●それならば除染技術研究開発機構を

むしろ中小・零細企業で活躍する発明家から挑戦的な発想を聞くことができます。今回の視察で拝見したセシウム剥離装置も中小企業の発明によります。大きな研究組織は、あまりに官僚化(天下り含む)したために、ユニークで挑戦的な発想やアイデアが生まれないのでしょうか。「いかがなものか」「まだよくわからない」「既往研究がない」などと言ってる間に汚染は深刻化します。中間搾取を含めて国からの研究予算の管理だけをするなら、そんな組織は不要です。こういうときこそ思い切って、恥ずかしくてもいいから、大胆な提案と行動を科学者に求めます。さもなければ、野田総理は国内の発明家集団を編成して除染技術研究機構を発足させるべきです。


ひとりの想いが千二百年続くこと

2012年1月31日 21:48


●千二百年前にできた学校
本日は平日ですが京都に入りました。日本最古の私立大学である綜藝種智院(しゅげいしゅちいん)の130周年記念式典でした。130年というのは現在の組織であって、種智院さんのはじまりは千二百年近く前になります。

●弘法さんの私学
開学者は弘法大師(空海)です。当時(平安時代)は大学が公立で、入学が貴族等に限られていたそうです。そこで弘法さんが身分に関係なく入学できる私学を設立されました。

●弘法さんで3年
高校時代3年間、弘法さんの境内に隣接する寮(睦寮)で生活させてもらったことは終生私の原点です。授業中は、いつも種智院大学から鈴の音が聞こえてました。

●ひとりの想いが千年
式典のご挨拶で、種智院大学と高野山大学の校長先生がそれぞれ経営の難しさを述べておられました。実は千二百年までも同じだったそうです。大師は開学に際して、資金集めのために皇族、貴族、仏教者に広く協力をよびかけられたと言われます。千二百年の時を経て、いまなお種智院大学のご関係者が学校経営に奮闘しておられるご様子をお聞きして、ひとりの高僧の想いが千年をまたいで続くことの凄味を知りました。

●映画のお護摩炊き
ところで、映画「源氏物語 千年の謎」のなかに御息所の祟りを解くためにお護摩を炊くシーンがあります。「のーまくさーまんだーばーさらなんせんだんまーかろしゃーなーそわたらうんたらたーかんまん」このシーンを含んで仏事は弘法さんの僧侶が監修されました。自らもお護摩シーンに出演しておられます。仏事の作法はいまも続いています。

事故調査にならない

2012年1月26日 21:30

●議事録がなかった!

本日の衆院本会議で、原子力災害対策本部の議事録が作成されていなかった問題について野田総理が「誠に遺憾である」と陳謝されました。議事内容が文書で記録されていなかった点で以前から指摘されていました。

 

●私は統合本部に

発災後、私は統合本部に入りました。原災本部が原子力災害特別措置法に基づく法的な組織であり、閣僚と官邸が編成するのに対し、統合本部は政府と東電が混成する法的根拠のない現場対策専門の実働部隊でした。

 

●はじめに議事録のフォーマットから

統合本部で私が最初にやったことは、馬淵首相補佐官(当時)とともに議事録フォーマットを作成することでした。誰が発議者か?誰が途中の承認者か?誰が最終承認者か?というワークフローを明らかにするために。組織活動の常識だと思います。法に基づかない組織でさえ議事録を作成していたので、法的組織で作成しないなどありえません。

 

●事故調で調査が必要

現在、事故調査委員会は3つあります。(1)東電社内の事故調、(2)政府の事故調、そして(3)国会の事故調です。すべての事故調で本来は議事録が重要文書となるはずでした。しかし、その重要文書がないとされているのです。事故調は、調査対象となるべき文書である議事録がない理由を調査することになります。

 

●徹底的に捜すべき

事故調は「ないです」と言われて「そうですか」と言わずに徹底的に議事録を捜索すべきです。放射性物質の原単位放出データは風向きを発災初日から官邸にファックスしていたとされています。なぜ、ただちに風下の住民に伝えなかったのか?「ただちに問題はない」と言いながら「ただちに情報を公表しない」という矛盾。そうした意思決定の証拠が、議事録でなくてもメモ等のかたちで必ず残っているものです。捜しださなければ事故調査になりません。

安全ではなく規制に

2012年1月24日 20:48

●安全庁を規制庁に変更

本日、民主党の環境部門・内閣部門・原発事故収束PTの合同会議が開催され、政府提出の原子力安全庁(仮称)の設置法案を協議しました。私は原子力事故収束PTの原子力安全庁検討小委員会の事務局次長として事務局長の川内ひろし議員とともに「安全庁ではダメだ」「規制庁にすべきだ」と主張し続けてきました。そして事故収束PTの荒井聡座長が政府に対して粘り強く申し入れを行ってきました。そして、ようやく本日の合同会議で原子力規制庁という組織名が政府案としても了承されることが決まりました。

●40年使える?

でも内容面でいくつか問題が残っています。そのひとつが40年問題です。同法案のなかで「原子力発電施設を使えるのは40年まで」とする条文があります。同条文については私自身、前回の合同会議で明確に反対しました。40年の根拠がありません。新品でもだけなものはだめ。「40年までは使える」という誤解を与えるような文言は削除すべきです。

●20年延長条項は大問題

加えて40年経過しても施設の劣化等の状況を診断して問題なければ、1回に限りさらに20年を限度として延長しなければならない、という極めて問題の大きな条文も含まれていました。論外です。これでは40年+20年で60年使いましょう、と言わんばかりの法律になりかねません。

●設備の劣化状況で判断すべき

たとえば圧力容器の金属材料の場合、核分裂で生じる中性子を浴びて材料自体が徐々に劣化(もろくなる)します。金属がもろくなる度合いを脆性(ぜいせい)と言いますが、この脆性がどの程度までひどくなっているかを表す指標に脆性遷移温度があります。圧力容器の脆性遷移温度は定期的に測定されています。今後は、材料を含む設備の劣化を示す種々の尺度を決めて、ここを超えたら使えないという原子炉使用禁止基準を制定すべきであり、私は引き続き政府と霞ヶ関に向けて協議を続けます。

こどもの体内被ばくを1ベクレルでも減らす

2012年1月22日 19:51

●園児とおなじ食事を体験

本日は保育園の調理室でこども達に食事を作ってくれている調理師さん、栄養士さんたちのお祭りに参加させてもらいました。お芋ケーキ、ひじきの煮物など、実際に保育園でこども達が食べている料理を参加者が少しずつ食べてみるというお祭りです。ブースがたくさん出ていて大変な賑わいでした。

●保育園で給食が一部許される

今回の新システムのなかで、一部の型の認定こども園(幼保連携型、幼稚園型、地方裁量型)において、満3歳以上のこどもについては、園外で調理し搬入する食事(つまり給食)が認められることとされています。認定こども園に関する国の指針です。(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06080815.htm)

●お芋さんの皮むき

主催されている調理師さん、栄養士さんからは、「こども達にお芋さんの皮むきを教え、昼前から食事の香りを知ってもらうような食育ができなくなる」とのご不安を聞きました。さっそく現場の声を国会に届けます。

●園児を放射能から守れるのか?

私は、保育園の調理室設置基準について食育とは別の角度からも不安を感じます。放射能による体内被ばくの問題です。特に発育段階にある幼児は放射能の影響に敏感です。園児が口に入れる食事を放射能から守らなければなりません。

●低線量被ばくでもこどもは敏感

しばしば「ラドン温泉、ラジウム温泉などあるだろう」「低線量なら逆に体にいいのだ」などと発言する方々をみかけます。考えられません。わたちたち中高年ではなく、守るべきはこども達です。こどもの放射能に対する感受性を無視しており、あまりに軽率です。「プルトニウムは飲んでも大丈夫だ」とテレビで発言した学者さんもいるそうですが、あまりにむごいです。

●1ベクレルたりとも入れない覚悟

とりわけ食事は経口で体内に入るのであり、内部被ばくに直接関係します。政治も行政も、全力を賭してこども達の体内に1ベクレルたりとも入れさせないという覚悟で食品安全管理を図っていかなければなりません。

●「認定こども園に関する国の指針」に放射能対策を

その意味で、子ども・子育て新システムで策定されている「認定こども園に関する国の指針」のなかに「食品を放射能から隔離する」「こども達を体内被ばくから守る」という指針を当初から入れておくべきです。

●1ベクレルでも減らすという管理規定

指針第4第3項は認定こども園での調理室設置を義務化しています。また同第7項で調理室を持たずに給食でも良いとする場合の例外規定を設けています。第3項に従うならば各こども園の調理室で、また第7項に従うなら給食センターの調理場で、国と自治体の厳格な指導による放射性物質の管理徹底化を明記しておくべきです。

●食品中の放射能検査装置の設置など

特に食品中の放射能検査装置の設置基準などを管理規定にも明記すべきです。生産者、流通者側の測定結果だけでは一方的なのです。抜き取り検査となり得るからです。同じロットでも汚染分布が異なることを否定できません。親の立場からすれば、食品中の放射能検査はなるだけ口に入る直前で、しかもなるだけ全量検査に近づくようにと考えます。現段階では、そうした不安を持つお母さん達に応えていません。

●食品安全基準だけではダメ!

「食品安全基準があるじゃないか」という方もおられるでしょう。しかし基準で乳児用食品50ベクレルと規定しても、乳児の体内被ばくに対しては無力です。それは単なる生産・流通基準であり「50ベクレルまでなら売ってもいい」ということなのです。50ベクレルまでなら飲ませても大丈夫と思うお母さんはいないでしょう。1ベクレルでも減らすという調理現場での管理規定が必須です。

●自分のことだと思って

大量の放射性物質がいまも拡散を続けています。低線量だから、ただちに影響はないから、健康影響の根拠はないから、などは論外です。放射能被ばくの問題は、政治も行政も、自分の親や子供のこととして立法し、政策立案するのが当然です。私は、以上の点をこれから関係議員、関係省庁・担当者に問いかけます。その経緯と結果を、このブログであらためて報告させていただきます。

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